しんどい営業はもう時代じゃない!営業の成果を楽に上げる「質問型営業」とは?

買ってもらうのではなく、売ってしまっている。なぜか説得傾向になってしまう。そのことに青木毅(あおきたけし)さんは、かつて営業マンとして悩んでいました。しかし、ある経営者との会話をキッカケに営業の極意に目覚め、今までの10分の1のパワーで楽に成果を挙げ、教育分野の営業でトップに返り咲いた。しんどい営業はもう時代じゃない!お客様の方から頭を下げ、自ら動いてくれるという営業法とは一体何なのか、その秘密をとことん聞き取ります。

青木毅

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営業の極意「質問型営業」

ー 現在力を入れているお仕事の内容は?

「質問型営業」という営業法を企業・個人に指導しています。その一環として、営業へしっかり向かうようにするために、自分自身のコントロールをいかにするかというところで「セルフマネジメント」という指導もしています。

ー ご指導されるのは企業が多いですか?

たまにネットを通して個人にも指導していますけれど、私共の方でコンサルタントがいますので、個人はそのメンバーが指導してくれています。私自身は20社くらい対応しています。大体4か月間でベースとなるスキルを8回教えて、その後は毎月フォローアップしています。しっかりと原理・原則・方法を覚えて、ロールプレイングを行い実践できるようになるというのが基本です。

青木毅

営業教育の内容

まず「営業」とはどういうものなのかということ、どうすればお客様が動いてくれるのかという原理・原則をしっかり教えて、それに基づく方法というのがあります。その時に「質問」というのが非常に効果的であるということで、方法として質問を軸として、業界や業種、会社に合わせた質問等を具体的に作ってあげるということもしています。

基本のことを教えたら、アポイントはどうやったらとれるのか、アプローチ、プレゼンテーション、クロージング、フォローアップと、順番に教えていきます。

「説明」じゃない、「質問」だ。

ー 「質問型営業」に確信を持ったキッカケは何だったのですか?

説明の営業というのを散々やり尽くして、なかなか前向きにお客様に買っていただけない、どうしても説得傾向に陥っちゃいますよね。それとインターネットというものにちょうどぶち当たって、いよいよ「説明」じゃ無理だなと。

どうしたら人は動くのかとか、もう一回考え直したら、ポイントは「質問」でした。質問をどう組み立てていけばいいかなということを考えていたのですが、最初から「質問型営業」があってそれを試したという訳ではなくて、たまたまある経営者とのあまりにもモデルになる素晴らしい一場面で、「これだ!」と思いました。

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聞けば聞くほど

その経営者の方にはまず、「なぜ会社を作ったのか?」、「どういう風にしていきたいのか?」、そういう話を聞いたら、すごい真面目にやっていられる方で、聞いていくうちに是非応援したいなぁという気持ちが湧き上がってきたのです。
それで自然に「じゃあ現状はどうなんですか?」という話から、「私共の担当は教育なんですが、教育はどのようにやられてますか?」という話になりました。

人材というものは企業にとって重要なものですからね。聞けば聞くほど、うちの教育を入れてもらったら絶対この会社に効果が出るなというのが、だんだんわかり出してきたんですね。もう2、3つ質問したら自分の中で確信に変わった。絶対私共の教育の商品が役立つと。確信持ってるわけですから説明なんてどうでもよくて、「いいのあるんですけど、やりませんか?」という言葉がパッと出た。

青木毅

そこまでたどり着くのに45分か50分くらい経っているわけですよ。こんなに聞いてくれる営業マンもいないと思います。それだけ聞いた上で「いいのあるんですけど、やりませんか?」と、確信を持って言ったら、向こうが「そうやな。」って言いました。

名刺交換だけで、パンフレットは送ってありましたけれど、ほとんど読んでないところからスタートした。相手のこと聞いてただけでそこに辿り着いて。「そうやな」と言ったけど、“え?この人やるの?”って。次にその経営者が言ったことは、「ところで青木さん、何やったらいいの?」(笑)

逆さまの光景

今までの営業とは真逆でした。「そうやな」という返事から「何やったらいいの?」。普通は「何をやる」から「そうやな」だから。自分も夢中で質問してたから、まだ説明していないことを忘れてて(笑)、慌ててカタログを出して説明しましたが、その時にはもうお客様の困っているポイントが全部わかっていますからね。

それで即決で決まりました。向こうが深々と頭下げて「よろしくお願いします。」と。今までは私が「よろしくお願いします。」と言ってたのが、全く逆さまの光景に“どうなっとんねんコレ”と(笑)。その帰りしなに「営業の極意ってこれか!ついに俺は見つけた!」と思いました。

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質問の組み立て

「売るのではなく買ってもらう」ということは随分昔から聞いていることです。言葉としてはわかってても、それがなかなか実現できません。欲求がぐ~っと上がってきて、最後には押しちゃう、売っちゃいます。「こういうフォローしますから」、「値引きしますから」など言ったりして、なんでこうなるのかなということをずっと悩んできましたが、それがわかった瞬間でした。

あの場面を分析したら、質問が軸になって組み立てがちゃんとできていた。まず会社のこと、社長のことを聞いて、ほぐして、そこから現状聞いて、そして初めて自社の分野にあたる部分の現状を聞いて、どういう風にしたいのか、何が問題なのか、それに対してどうやってるのか…。ずーっと段階が分かれてたのです。

この組み立てがもし本当だったら同じことが再現されるだろうと思って、組み立て通りにまたやってみました。そうしたらどんどん同じことが起こってくるんですよ。「これほんまやわ」って(笑)。質問型営業のスタートはこんな感じでした。

相手が困っていることを聞けると・・・

それまで「組み立て」のことは、本にもどこにも載っていませんでした。従来の情報ではマーケティングで人を集めて、そこにプレゼンテーション。マーケティングで集まるということはやる気にはなってる人が集まっているのですが、やっぱり警戒心があったり、今ひとつ心を開いてもらってなかったり、相手のニーズがわかりにくかったりするわけです。色々調べましたけど、そこの緩和が完全に本なんかでも抜けちゃってて。

青木毅

ー 確かに組み立てまで書いてある本は見かけませんね。

他の営業マンはセンスでやれてるのかもしれませんが、私はセンスがあると思っていないので、組み立てて論理的にやっていった。無駄な説明なんていらないです。つまり相手の困ってることに対して「ここに絶対役立つんです」というピンポイントで説明するだけです。ほんの5分のことですよね。

お客様もどういう気持ちで聞いているかというと、「採用するのにどういう風に使ったらいいのか」、「どういう風に使ったらどう効果があるか」など、採用するという観点で聞いているのです。

「らく~」にトップに。

3か月くらい経ったとき、教育の業界でトップに返り咲きました。すごい楽しかったです。向こうが頭下げてくれて、こっちは堂々と入っていけますから。それでまた翌年も一年やってみたら楽~にトップとれた。紹介も増えてきました。教材の単品を買ったお客様が企業で採用したり、個人のお客様が別の経営者さんを紹介してくださったりして、それで確信を持ちました。

自分ができたら今度はスタッフですよね。“周りにも通用するのか”ということで、やりたいという人間に教えました。そうしたらやっぱり成果が上がるんですよ。素人みたいで全然営業したことない人でも。自分で質問型営業を使って2,3年、教えて7年くらい。そこからコーチングを営業していました。

それにも質問型営業を使っていた。今はLINEやZOOMで動画を使って話できるようになりましたけれど、当時は電話一本。顔も見ずに電話だけでクロージングとかね。それで質問型営業の腕もますます上がってきていた。4,50万の営業を電話でクロージング。そんなたいしたホームページあるわけじゃなかったのですが、それだけでお金を振り込んでもらって、コーチングをスタートするという。

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どう質問したらいいのか

ー 質問が大事なのはわかっているけど、実際現場で実践できない。そんな方たちにアドバイスありますか?

申し訳ないですが、全部が中途半端です。ちょっと知ったくらいで相手を動かそうとか、やっていこうとかというのは甘い。それでうまくいかないのは当たり前です。役者さんが台本持って突然舞台立つようなものですよね。ある意味では台本もないかもしれない。

一連をここまで作りこんでこそ、楽に成果が出る

うちはトークスクリプトでも完全に仕上げるし、それを覚えてもらいますし、滑らかに出るようにしてもらって、その雰囲気とか、そういうところまで全部作りあげています。ところが、質問というのはものすごい楽なんですよ。質問を相手から引き出すように、質問の雰囲気を作るだけで、あとは相手がしゃべってくれる。

別に相手を丸め込むわけじゃないしね。「説明型営業」は、ある意味丸め込んでいる。それにはものすごいパワーが要りますよ。だけどそうじゃなくて、質問した相手に心地よく質問してもらうように仕向けるだけで、相手が勝手にしゃべりだして、必要性を感じだして、必要ならやる、それだけの話ですよ。だからめちゃくちゃ楽です。「説明型営業」より使うパワーは10分の1くらいじゃないですか?もっと楽かもしれない。

青木毅

うちで今まで成果の上がってなかった人も、成果を上げてます。会社の方がびっくりしています。今までに散々教育したのにどうにもならん、もうクビにするしかないなというような人間が、突如トップセールスになる。そんなことが起こります。

コツと肝

最初に触れる人が担当者か決裁者かわからないけれど、まずその人が軸になるわけだから、その人と心から触れ合わないと。お互い信頼できるように、人として触れ合うことです。

人として触れ合うにはどうしたらいいかというと、お互いのことを知る・話し合うということ。どういう考え方を持ってるか、どういう生き方を持っているのかというところです。そんなことを知るのに何回も付き合わなあかん、飲みに行かなあかん、ゴルフせなあかんですとか、そんなことする必要ないですよ(笑)。回数で親しくなるのではなく、本音の話で親しくなる。

相手の人生を聞く

経営者だったら「なぜこの会社を作ったのか」、担当者だったら「仕事をどういう想いでやってるか」とかそういうこと。人として触れ合うとオープンになるでしょ。そうすると今度は、今の現状についてどうなのか。例えばリフォームの営業の場合だったら、住まいとか生活についてどうなのかということを聞く。

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一般的には、すぐリフォームの話に入ろうとするでしょ。だから物売りと言われてしまう。そう言われたくないのなら、その解決策や相手の望んでいることを売ればいいのですけど、可哀相なことにそういうことを営業マンは教わっていない。企業もその分野を教えることはなかなかできない。

ー そうですね、未だに「見て覚えろ」っていうあいまいな部分がありますよね。

そうそう。それが大間違いです。そこを論理的に、具体的な方法で教えて、納得してもらって、なおかつそれを練習させる。その上でお客様に会ってもらう。そういうことを4か月くらいで仕上げます。

質問型営業の一環、「セルフマネジメント」とは?

自分で自分をコントロールする。お客様に自ら動いてもらえるように、自分を動かすコントロールです。「俺はだめだ!」「ここで踏ん張らないと!」って、自分を叱咤激励するとか、いやいや、そんなこと何回言ってんねんと(笑)。そんなしんどいことはやめましょうと。それだったらもっと具体的な提案を自分にして動かせるようにしていく。

お客様が自然に動いていくのと同じように、自分も自然に動いていく・動きたくなるように仕向けていく、それがセルフマネジメントです。それも自分自身への「質問」です。

自分自身に質問して、事実を客観的に見る

例えば、「物事が継続しない」ということがあるとします。じゃあ「なぜ継続しないのか?」と自分に質問をする。ここで「根性が足りない!」なんて言わないで、「一日にやることのボリュームが多い」ということが原因なら、それが事実。それが分かればボリュームを減らす・朝晩で分けるのはどうかと自分に質問して、客観的な事実を見て知って、じゃあどうする?というところに切り替われば継続していく。

これは、質問を投げかけて答えを出すという「振り返り法」と言いまして、記入シートもあって、これは質問型営業の利用者はすごく使います。あと、「問題解決シート」というのもありまして、問題があったときはすぐ書いてもらう。

青木毅

「質問型営業」を世界に

この「質問型営業」を世界に持っていきたいですよね。世界共通の営業法というかね、新しい営業の概念ということで広げていきたい。

私は11冊本を出していますが、その内6冊が海外でも出版されていて、なおかつ売れて増刷しています。今、中国・韓国・台湾・タイと、4か国語で翻訳されていまして、去年は中国へ行きましたけど、今年は台湾に呼ばれてます。向こうで5回増刷されてるんですよ。

「この営業法を作ったのはどういう人なんだ?」とのことで呼ばれてるんですけども。「この営業法を使ってすごく楽になった」、「成果があがった」という声があって、やっぱり世界で共通の問題が起こってるんだなぁと。だからやっぱり、世界共通の営業法にしていくのが夢ですね。

ー 海外はまだまだゴリ押しの営業法が主流だって聞きますから、これはすごい可能性ですよね。

質問型営業は誰でも使えるのがいい。

感じている限界を破る

「質問型営業」をひとつの手法みたいに思われるかもしれませんが、人間ってセルフイメージ、自分のイメージを持っています。それは過去の経験でうまくいかなかったことや、いろんなことを含めて、それに自分が限界を感じちゃって自分を決めつけちゃってるのですね。それを破るのはひとつね、新しいやり方を信じてやってみて今までと違う結果を出してみることです。

この質問型営業はやり方・方法がキチッとしてますから、練習してさえいただければ誰でもできます。その入口を通して営業がうまくいったり成績が上がる、それが自分の人生さえも変えていく。
今までうまくいかなかったのは、能力の問題やコミュニケーションの上手い・下手ではなくて、やり方と方法さえ知っていれば人間ってどんどん変われるんだなって、そんな感覚になるのです。可能性がものすごく広がりますよ。

単に「営業をどうにかしたい」というレベルの話ではなくて、人生チャレンジして大きく羽ばたいてやろうと、そういう入口として是非使っていただきたい。

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人生にチャレンジするツールとして

今なかなか忙しくて一般のところにも行けませんし、企業の方も何か月も決まっているので、今回「質問型営業」の研修パッケージを作りました。非常に時間をかけて練り上げて、「この通りやれば私が指導しているのと同じ質問型営業が学べますよ」という220ページの 指導マニュアルをつけて売り出しています。

ポットキャストでも経営者のための音源もありますし、有料版で「マスター編」というのがあるんですよ。これは16レッスンあります。かなり具体的に説明していますので、個人の方は是非マスター編を。もちろん本も。質問型営業のものだけで9冊出ています。これらを大いに利用いただきたい。

営業というものはですね、メカニズムがあって、キチッとやればできる。コミュニケーションにも通ずるんで、是非チャレンジしていただきたい。

青木毅

【 略歴 】
青木毅(あおきたけし)
株式会社 リアライズ(質問型営業®本部)代表取締役

1955年生まれ。大阪工業大学卒業後、飲食業・サービス業を経験し、米国人材教育会 社代理店入社。88年、セールスマン1000名以上の中で5年間の累積業績1位の実績をあげる。97年に米国人材教育リーダーシップ部門代理店に移籍。98年には個人・代理店実績全国1位となり、世界84か国の代理店2500社の中で世界大賞を獲得。2002年にセルフコーチングの会社リアライズを設立。ビジネスコーチングを大阪府職員などに5年連続で指導。08年自らが実践し、所属コーチにも指導してきた「質問型営業」を指導するコンサルティングをスタート。現在、大手カーディーラー、ハウスメーカー、保険会社などで指導を行っている。

著書に『営業は「質問」で決まる!』(同文館出版)、『「3つの言葉」だけで売上が伸びる質問型営業』『3か月でトップセールスになる質問型営業最強フレーズ50』(ともに、ダイヤモンド社)などがある。
Podcast番組「青木毅の『質問型営業』」は、累計500万ダウンロードを超えている。

質問型営業公式ウェブサイト
青木毅氏著書一覧