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「事務効率化」の第一人者に聞いた。ミスを起こさず業務を加速させる方法とは?

「事務効率化」の第一人者に聞いた。ミスを起こさず業務を加速させる方法とは?

仕事でミスをしないよう身につけたノウハウが出版社の目に留まり、数々の「整理術」を世に出した。事務関係の整理術の先駆けとして、現在も活躍中のオダギリ展子(おだぎりのぶこ)さんに、整理術を極めるきっかけやその過程、どうしたら整理術をマスターできるのかなど、とことん聞き取ります。

「整理」することでミスが起こらなくなる

- 整理術を仕事にしようと思われたきっかけは何でしょうか?

私は特許事務所で働いていたのですが、最初から「整理」を意識していたわけではなく、「ミスをしない」「ミスを防ぐ」ことを第一に考えていただけなのです。

私の担当業務は、「外国特許出願事務」だったのですけれど、特許の仕事では些細なミスが原因で、損害賠償などといった大きな問題にまで発展してしまう可能性があります。

従って、ミスに関しては事務所側でも細心の注意を払っていて、事務所にはミスを防ぐための独自の「ルール」がたくさんありました。そして、それに従って業務を遂行していくと、本当にミスが起きなくなるのです。

オダギリ展子

急がば回れ

決められたルール通りに仕事をするには、思った以上の努力や時間が必要なときがあったかもしれません。けれども、ミスを未然に防ぐことができれば、(起きてしまった)ミスをカバーするための手間と時間が発生しないので、結局はこの方が効率的になるのです。要は、「急がば回れ」ということですね。

その後、貿易事務(輸出)の業務に携わったのですが、輸出の仕事は、これまで担当していた外国特許出願事務と(日本から海外へという意味で)ベクトルの向きが同じなので、前職での経験が大いに役立ちました。ミスが防げるやり方を新しい業務に応用した際の効果も絶大!

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膨大な量の書類を前にして、閃く

整理整頓が業務の効率化につながることがわかったのも特許事務所で働いていたときです。当時は、日々大量の書類を取り扱っていたのですけれど、当然、この一つひとつが間違ってはいけない案件書類であるワケです。

当初困ったのが、(出願)国によって異なる特許法を把握していなかったために、処理の仕方や優先順位の決定、期限管理などへの迅速な対応や判断ができなかったこと。しかも、受け取る書類のほとんどが英語で書かれていて……。業界用語がきちんと理解できていなかったことも大きかったです。

幸い、これらに関しては、時間の経過とともに「慣れ」がある程度解決してくれましたが、業務がスムーズとは言い難かった。で、あるとき、自分の席の前に立ち、書類がたくさんある机の上を見て思ったのが、この書類をカテゴリー分けして整理すれば、仕事がミスなくスムーズにいくのではないかということだったのです。

わかりやすい例を挙げるなら、生まれたばかりの赤ちゃんから高齢の、種類が違うたくさんの動物を同時に飼うことをイメージしていただくと良いかもしれません。

(人間でいう)0歳から100歳くらいまでの犬、猫、ウサギ、インコ各数匹、数羽を同時に飼う場合、飼いやすくするにはどうしたら良いかということです。

こういう場合は、やはり、動物を種類別に分類したうえで、「0歳児」「〇歳以上」などに分け、さらに、「ケガをしている」「病気になった」など、状況に応じて別途飼育する方が良いのではないでしょうか? このあたりは、まさに書類の管理と共通しているように思います。
また、種類別に分けることで、犬の集団にウサギが1羽紛れ込んでいたら、一目見てすぐわかりますよね? これは、ミスを防ぐことにもつながるでしょう。

で、書類で実際やってみると成果は大あり! 特に輸出の業務では、書類を作業段階に分けて整理・管理したことで、机の上をパッと見ただけで担当業務の進捗状況が一目瞭然となり、ミスもなく快適に働けるようになったのです。

事務効率化のノウハウをメルマガに。発行1か月で……

でも、せっかく積み重ねてきたこれらのノウハウも、私が仕事を辞めたら、何も残らなくなってしまいます。そこで、「何らかの形に残しておきたい」とメールマガジンで配信したところ、出版社の編集長の目に触れることになり、書籍の出版にまでつながったのです。メールマガジンの発行から1か月も経たないうちだったので、本当にビックリしましたが……。

オダギリ展子

― 今のスタイルでお仕事をされるようになったのは、どのくらい前なのでしょうか?

メールマガジンを書き始めたのが2004年の秋で、本が出たのは2006年の2月。税務署に開業届けを出したのがその少し後なので、こういう形で仕事をするようになったのは10年くらい前からになります。

言葉だけではわかりにくいことは、図で

― 三笠書房さんから出版された『デスクワーク整理術』『事務ミスがない人の図解整理術』。図解なのでものすごくわかりやすいです。私は正直、整理が得意じゃないんです。でも図で見ると、「ああ、なるほど」と思います。図解はイメージしやすいんですね。

「わかりやすい」と言っていいただけるとうれしいです。「文字が少ない」というご指摘もあるのですけれど……(笑)。でも、そのお陰で、「読みやすい」とも言われます。「百聞は一見に如かず」と言いますが、文章でどんなに詳しく説明しても理解してもらえなかったことが、図1枚で解決することは、往々にしてありますよね。

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整理術の第一人者

― 『デスクワーク整理術』が出たのが2014年。今でこそ整理収納アドバイザーとかたくさんありますが、この企画当時、そういうのはありましたか?

-出版社編集担当- 
オダギリ先生は2006年に同文舘さんから『ミスを防ぎ、仕事をスムーズにする オフィス事務の上手なすすめ方』という本を刊行されました。先のお話にもありましたように、ご自身の整理術をまとめたメルマガをベースにした本ですが、それまで仕事を効率的に回すための整理術の本は少なかったので、すごく売れました。

また、先生の本には機能的でありながら、デザインもよい文具の紹介もたくさんあり、整理が苦手な方も楽しみながら読めます。この文具を使えば「できるかも!?」と思えるんですよね。きちんと整理をしながらも遊び心を忘れない、そこも先生の著書の魅力です。

弊社から出版させていただいたのは2014年ですが、企画が上がったのは2010年くらいでした。楽しくも内容にこだわった打ち合わせを重ね、やっと刊行された1冊はおかげさまで順調に版を重ねています。

そして、今や効率がより求められる時代になりました。ビジネスマンが「探し物」に費やす時間は、年間150時間とも言われています。そんなムダをなくすためのデスクや書類の整理術をまとめたのが2冊目です。今回は、時代に合わせ、デジタル整理術にも言及しています。

先生の本は誰でもすぐに実践でき、すぐに効果があらわれることを目標にしています。実際、先生には仕事の効率を上げた実績とノウハウがありますから。コンサルタントが書いて、編集でまとめたものとは説得力が違います。
     

「整理」はカテゴリー分け

― 整理整頓のできる人は、商品の陳列がうまいと感じるのですが、オタギリ先生に陳列してもらったら、さぞすごいだろうなと思います。

陳列と関係あるかはわからないですけれど、どうも私は、カテゴリー別に分けることが好きみたいで……(笑)。

実は、私は家族全員が石川県金沢市の出身で、私が中学に上がる前まで金沢に住んでいたのです。で、父の趣味が魚釣りというのもあって、食卓に魚が出ることがとても多く、魚が出た場合、私たち姉弟はその名前を言い当てなくてはいけなかったのです(笑)。

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そうなると、どこがどう違うのかを探そうとする。元々「間違い探し」のようなクイズは好きでしたが、「違い」がわかると嬉しくなりますよね。

良い陳列は、その「違い」の有効活用につながっているかもしれませんね。

小売店の棚などへの陳列に関しては、(横書きの文字を読む際などに)人の目線が左から右へ動くことを利用するとか、売れ筋のモノは手の届きやすいところに置くなど、いろいろ考えられていることを聞いたことがあります。こういったお話も興味深いですね。

オダギリ展子

毎日少しずつ実行して、負担のない整理整頓を!

― 整理の苦手な人が、得意になるとまではいかなくても、キチッとできるようになるには、どういったことに気をつければ良いでしょう?

そうですね、最初から完璧に整理整頓されたデスク周りを構築するのは、やはりハードルが高いでしょう。でも、書籍に書いてあることを毎日少しずつ実行していただければ、そんなに負担なくできると思います。実は、私……、今でこそ整理術などの本を書いていますが、子供の頃の学習机の上はグチャグチャだったんですよ(笑)。

学年がひとつ違う姉と同じ部屋だったのですけど、姉の机はいつも片付いていて、とてもきれいなのに、私のほうは何だか汚くて……。お休みの日に思い立って整理整頓したりするのですが、しばらくするとまた元に戻ってしまって……。なんでこうなってしまうのか、とても不思議でした。子供の頃は、本当に整理整頓できなかったんですよ。

― 今の先生からすれば、想像もつかない話です。

そうですか……(笑)。でも、社会人になってからの私ということであれば、それは、自分の家にいるのと会社にいるのとでは「モード」が違うからでしょう。会社は、(自分が)労働を提供して、その対価としてお金をいただくところ。私は、そういった意識が強かったのだと思います。

それに、自宅であれば、例え、髪に寝ぐせがついていようが、パジャマ姿でいようが、個人の自由と思いますけど、今日のように、こうやってインタビューのお仕事をさせていただく際は、間違ってもそんな風ではいられませんよね? 
あ、誤解のないように言っておきますが、これは、常に緊張状態でビシーッとしていなくてはいけない、という意味ではないですよ。どこかで気を抜く時間をつくるのも大事だということです。

― 社会人として特許事務所で働いたことが、今の先生のお仕事に与えた影響は大きかったということですね?

はい。特にあのミス防止ルールのおかげですね。念を押されてドキッとしたこと、ヒヤッとしたこと、「期限」を思い出して夜中にガバッと起きたこともありました。でも私は、自分の仕事が好きだったんですね。

現在は、文具に関するお仕事もやらせていただいていますが、こちらに関しては、単に「文具が好き」と言うよりも、自分の仕事をさらにうまく回すことができる道具としての文具に大きな魅力を感じています。

オダギリ展子

特許事務所では「自称キャリアウーマン」だった!?

― 仕事が嫌いとは言わないまでも、あまり気合が入らない人、なあなあで何となく日々を過ごしてる人も多いはずですが、仕事を好きになるために、そんな人たちにアドバイスがありますか?

私にとって仕事は、生きがいのひとつなので当然好きなものになりますが、そうでない方は、どんな小さなことでも、何か「楽しみ」を見つけると良いのではないでしょうか?

私には、特許事務所に勤めて間もない頃の思い出として忘れられないことが1つあります。それは、先輩が米国の代理人から届いた書類に付いていたオレンジ色のプラスチック製のクリップを見て、「私、現地の事務員さんは、若い女の子だと思うの」と言ったこと!

この一言で私の仕事に対する「何か」が変わったように思います。後に輸出業務に携わったときは、自分の担当する輸出国のことを自ら調べたり、出荷した製品がその後どうなって、どんな人の元に届くかなどまで思い描いたりするようになっていましたから! 

私は日本のオフィスの片隅で作業をしていましたが、私の視界や思いは現地にまで及んでいたのです。これで楽しくないハズがない(笑)。

― 最初の特許事務所時代から、バリバリのキャリアウーマンだったんですか?

後になってから友人に言われたんですけど「自分ではそう思ってるかもしれないけど、全然そうじゃない。フワフワしてる」って……。そうでしょうか?(笑)

フレンドリーで垣根がない人!?

― 初めて先生と打ち合わせのお電話させていただいたとき、とてもフレンドリーで垣根のない人だと感じました。

初めてお会いした方から「もっと怖い人だと思っていた」と言われることはよくあります。「ミスを防ぐこと」や「整理整頓」などをテーマに扱っているので、そこからくるキチッとしたイメージが先入観として強くある場合は、実際に接した際にそのギャップから「フレンドリーで垣根のない人」になってしまうのかもしれませんね(笑)。

-出版社編集担当-
先生は、すごく気を遣ってくださる方ですけど、厳しいことも仰いますよ(笑)。でも、それだけ本気でお仕事をされている証拠ですし、何より常に読者のことを考えていらっしゃるんですよね。本をつくっていく中で問題が起こってゴタゴタすると、それをずっとひきずられて、本ができるまで地獄っていう先生もいらっしゃるようですが、その点、オダギリ先生は問題が起きたとしても、解決したら、「はい、じゃあ、もうこの話は終わり!」って、それでなかったことに……。勉強になりますし、お仕事もしやすいです。

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安易な妥協はNG!

― 先生が「ここは譲れない」というポイントを教えてください。

正しくあることです。特に図解ではリアリティを重要視しているので、安易な妥協はできないです。実は、以前、イラストの勉強をしたことがあるのですが、最初に、「絵を描くときは実物を見なさい」と言われたんです。「チューリップを描くなら、チューリップを見ながら描け」と……。そうしないと絶対に違うものになるからって。

現物とかけ離れていたり、あり得ないモノなどは、自分の本には載せたくないですよね? 「ここは違う」ということがあれば、修正をお願いします。1ヶ所でも間違いがあった場合、それだけで他人から「この本は信憑性が低い」と評価されても仕方ないと思うので、それを避けるためにも……。もちろん、自分が書く文章にも細心の注意を払います。

メールマガジンは心のよりどころ

- 今もメールマガジンは発行されているんですか?

今は、自分の活動や記事掲載などのお知らせだけです。以前は、これを【号外】と称して配信していたのですが、読者の方から「僕のところには号外しか来ないのですが……」というメールを頂戴したので、【号外】を外して配信するようにしました(笑)。

現在は、画像と一緒にアップできるSNSに投稿することが多いです。けれども、今日の私があるのはメールマガジンのおかげであること、そして、(メールマガジンの)定期的な配信が難しくなったときに、「またココに戻ってくるからネ!」と宣言して不定期の配信に切り替えたという経緯があるので、読者数が0になるまで続けたいと思っています。

オダギリ展子

【略歴】
オダギリ展子(おだぎりのぶこ)
事務効率化コンサルタント

石川県金沢市生まれ。特許事務所で外国特許出願事務に携わり、のちに貿易事務(輸出)を担当。それらの業務の中で、リスクヘッジや効率化のノウハウを身につけ、過去の担当者の月100時間超の残業をゼロにした実績がある。現在は、メールマガジン「スーパー事務員Nokkoがついに明かしたヒミツテク」を配信、セミナーなどでも活躍中。また、『オフィス事務の上手なすすめ方』『デスクワーク整理術』は台湾で翻訳出版され、アジア数か国で販売されている。

【著書】
『オフィス事務の上手なすすめ方』(同文舘出版)
『ミスゼロ、ムダゼロ、残業ゼロ!』(幻冬舎)
『フォーマット書類術』(青春出版社)
『最強のデスクワーク術』(PHP研究所)
『仕事が10倍速くなる事務効率アップ術』(フォレスト出版)
『デスクワーク&整理術のルールとマナー』(日本実業出版社)
『最強の文具活用術』(PHP研究所)
『完全図解 いちばんわかりやすい ビジネス整理術』(成美堂出版)
『デスクワーク整理術』(三笠書房)
『事務ミスがない人の図解整理術〔書類・メモ・データ〕』(三笠書房)

【サイト】
http://www.office-jimu.com/