トップダウンの営業支援に特化した提案、コネクトサービスを展開するTOPCONNECT株式会社、内田雅章(うちだまさあき)社長。ビジネスマンなら喉から手が出るほどのサービスではないだろうか。このサービスの根源となる“ワープ”のアイディアは、これまで見てきた景色と、要領の大切さを実践してきた賜物だ。その仕事の流儀と人生が劇的に開けていく秘訣を、とことん聞き取らせていただきます。
会社のトップに繋げてくれるサービス
会社のトップを、直接紹介するというサービスです。どんな仕事も、社長に直接提案できたらすっきりしますが、テレアポや飛び込み営業をしても、イベントに行っても、なかなか社長とアポを取る事はできないですよね。そこで、僕たちがそこだけを切り取って、代行してあげるという仕事をしています。
結婚式に社長が500人来た理由
ー そのアイデアというのは、どういったところから?
僕の結婚式の披露宴に、社長が500人ぐらい来てくれたのですが、これを見た人たちから、「こんなに社長を知ってるんだったら紹介してよ。」と言われました。
ー 結婚式にそれだけの経営者を呼べたのはなぜですか?
前職で、経営者の会の事務局長をやっていましたので、社長たちをよく知っていました。しかも、みんなのために尽くすことだけをやっていて、ものをお願いしたことがなかったから、僕のお願いをみんなが何でも聞いてくれる環境だったんです(笑)。
ー いくら事務局長をやってたとしても、普通はそんなに来てくれないですよね。
そうですね。時間も費やしますし、ご祝儀持って行くのも嫌だと思います。でも、何故か僕の場合は社長がたくさん来てくれて、何とご祝儀は合計で2000万円でした。
経営者の信用を得るポイントとは
ー それだけの信用を、どうやって作り上げてきたのですか?
最初からお願いしないのがよかったと思います。しかもなんでも「はい」と言いますし、動きがいいですからね。休みだったり、自分の旅行をキャンセルしてでも行きますから。それで絶大なる信用を得たと思います。
経営者って、何かあった時に、相手が自分自身の用事を優先するのか、経営者のほうに来てくれるのか、みんな見ています。だから無理難題をふっかけてきます。一言でいうと、試してくるのです。頑張ればできるようなことを、わざわざ投げてくる。「急だけど、これできる?」とか。幸いにして、僕、試されるの大好きでした。
ー 確かにものすごい信用を得られるでしょうね。
旅行を予定していれば、多くの人は「予定があります」と言います。経営者って、そういうのは好きではないのです。「予定があってもキャンセルして来ました」というのが好きなのです。そこをみんなわかってない。僕は予定がなくても「予定をキャンセルして来ました」と言いたいぐらい。みんなは自分の予定を優先するから、僕だけがますますかわいがられるのです。 今の会社も、知名度、売上、社員数、どれをとっても話にならない位の規模。自分の信用以外、売り込めるものはないのです。
悩める経営者をマッチング
ー 月額契約をして頂いて、経営者同士をマッチングさせるビジネス。成果は出るのですか?
はい、大半のお客様は満足して下さっています。成功報酬でなく、固定で毎月頂いているので、不満であれば、きっと継続しないと思います。
[adchord]ー 今いろいろ情報が氾濫しすぎていますよね。
みんな迷っています。ビジネスパートナーの選び方がわからない。みんな自分では決められなくて、誰かに選び紹介して欲しいんです。僕はそれをセレクトし紹介しています。「あなたはこのイベントに行けば、いいことがある」「この会社と商談すれば、いいことがある」と提案するのです。占い相談みたいなものですね。双方がその気になって会うからうまくいきやすい。普通は探り探りやっているから、なかなか進まないのです。
磨き抜いてきた人との接し方
ー 異業種交流会というものがありますが、なんとなく行ってみたところで、なにも決まらないですよね。
はい、そうですね。それでは名刺だけ溜まって、やった気になってるだけです。
ー 上場企業の講演会や勉強会に行くと、みんな最後に並んで名刺交換しますけど、全く広がっていかないですよね。
でも、あれは腕です。僕は広げます。ネタはたくさん持っていますから、100人並んだ名刺交換でも、2回に1回は会うことができます。向こうも多分感じてくれていると信じています。この人と会うと、世界が広がるかもしれないと。
名刺交換で相手を仕留める
ー 名刺交換ですから、ほんの10秒か20秒の間ですよね。
僅かな時間で、「この男は面白いかも。なんかワクワクする」ということを想像させなければいけないです。でも長く喋ると嫌われてしまうので、「メールさせて頂きます」と言って、そこは潔く。結構得意なんです、一発でアポをとることが。
でないと、そんなに人脈はできないです。 例えば名刺にトヨタ自動車の副社長という肩書きが入っていれば、「是非アポで」という話になりますけど、僕の場合は、名刺見ても何やっているか分かりません。でも楽しいですよ、自分そのものが商品ですから。
ホテルのラウンジで訓練
ー そういうスキルはどの様にして身に着けてこられたのですか?
若い時から訓練していました。20代の頃には、高級ホテルのラウンジに一人で飲みに行って、知らない人に話しかけて、おごってもらう練習をしていました。
ー すごい(笑)。どうやったのですか?
まず、怪しまれないようにあんまり近く座らずに、ひとつ席を飛ばして座って、バーテンと話をしながら間合いを詰めていくんです。そして「隣に座ってもいいよ」と言わせて、そして、最後の勘定の時におごってもらう。それがうまくいくと、今度は「もう一軒、一緒に行こうか」と誘われるように。これが出来たら大成功。そういう練習をしていました。
ー 町の居酒屋じゃないところがポイントですね。
あんまり普通の人を相手にしても、すぐ仲良くなるだけだから、訓練にならないと思ったのです。難しいことやらなきゃダメなんです。
銀行員の頃、新しい世界を知る
ー そういうことをやろうと思ったきっかけは?
そういう世界を知りたかったんです。22~23歳の時、僕は銀行員でしたが、たまたま大金持ちの息子さんと同期で、彼のお父さんに色々なところに連れて行ってもらいました。まず親父さんが彼を誘うわけですが、彼は、50~60代の人ばっかりで若い人がいないのは嫌だから、必ず僕を連れて行くんです。
行くともう、世界が違うんです。ゴルフに行ったら美女ばかり。飲んでるものも食べてるものも行くところも、全てが違っていて、「同じ人間なのになんでこんなに違うのかな」と思ったのです。
その会長は、別に、そんなに外見がすごいわけでもないのに、ものすごい美女をたくさん集めるんです。タカラジェンヌとかアナウンサーとか客室乗務員とか、そういう人たちばかり。そして、男性たちも金持ちばかり集めるんです。会長が人とお金を集められるのはどうしてだろうと思ってずっと見ていたら、だんだんイメージが湧いてきました。
接客を学ばせてもらったのは、クラブのママ
僕は銀座のクラブのママさんから人間関係の作り方を学びました。初対面の人はどうすればいい気分になるか?という接客です。それは会話だったり雰囲気だったり、説明するのは難しいですが、押しすぎず引きすぎず、こうやったらやばい、ここまでは大丈夫って、そういうのを毎日やっていましたから、体に染み入っています。
「失敗は成功のもと」というのが大好きなんです。一皮むけるチャンスだって毎回思っています。そういうのは全部話のネタにして本に書けばいいから、失敗を失敗と意識していないのです。それ故、ダメージが来ないです。
経営者になるための人脈づくり
ー 独立を意識し始めたのは、いつ頃ですか。
独立は、小さい頃から意識していました。うちの父親は、小さな洋服屋さんをやっていたのですが、なかなかイケてる粋な男だったので、僕もそういうふうになりたいなと思っていたのです。それに、時間とお金にある程度余裕がないと、粋な男になれないと思い、「やっぱり社長しかないな」と思いました。でも、肩書は意識していたものの、何をやっていいのかわからなくて銀行に入りました。
ー 銀行に入れば何かがあると。
なんとなく、お客さんもたくさんいて、融資もしているし、世の中のことがわかるのかなと。たまたまお金持ちの息子と同期だったから、いろんな世界を見せてもらい、僕も自分で開拓しようと思って夜の銀座にくり出して、自分でいろんな人脈を作っていきました。当時はメールとか何もないので、アポ取ろうと思ったら電話をかけるしかなくて、ものすごくハードルが高かったです。
[adchord]ー それをもう、不特定多数の方に?
そうです。魅力的と感じたら、すぐ翌日に電話をしていました。僕、想像力すごいです、どの業界のことでも。この業界分からないですと言ったら、共感は得られないので。みんな、「自分の会社のここがすごい」ということに気づいてほしいわけですから、それに気づいてあげられないと、心をつかめないのです。ビジネスというより、心理学です。人間ってそういう生き物と思っています。
結果を出す人は何が違うのか
ー 結果を出している方たちは、どういったところが一般の人と違うのでしょうか。
無駄なことをしないです。そして、遊びに多くの時間を取る。たとえ仕事の時間が短かくても、的を外さないから、結構進むんです。ボクシングも、的外れなところをいくらパンチしても相手は崩れない。あれと同じですよ。稼げない人は、どこがポイントかわからないから、あっちこっち適当にたたき続け、そしてたたき疲れます。稼ぐ人は急所しかたたかないから、余裕しゃくしゃくなんです。
ー そのパンチの見極め方というのは?
自分じゃなきゃできないこと以外やらないんです。そして、相手が本当にやってほしいことしかやらないということです。多くの人は、相手がやってほしいかどうかはあんまり考えてなく、自分のやりたいことを優先してやっています。相手がやってほしいことが仕事。これが分からないんです。自分がやってあげたいことが、やってほしいことだと思ってるんです。だから勝手なことばっかりやっている。
ムダなことはしない
普通に生きてたら、歳をとっていくだけで何も世界は変わらないか、変わってもほんのちょっとです。僕の思考回路がインストールされると、自転車が新幹線に変わるわけですよ。電話の話し方、内容、メールの仕方から全部が違います。いかに短く終わるかというやり方だから。多くの人は、たらたら長い前置きメールを打って、微妙に丁寧すぎるやりとりばかりしていますが、お互い迷惑です。
ー 確かに経営者の方とかは、端的ですね。
そうです。無駄な話をしたくないですから。だらだら書くのは、頭の中でまとまっていない証拠なんです。会話すると分かりますが、整理されていません。
好きなことであれば、人のモチベーションは上がる
ー モチベーションの上げ方や行動について、どういうふうに考えておられますか。
人のモチベーションを上げるのは、僕の最も得意なところです。だから社員を増やさずして、全国展開できるんです。遠隔の人を給与を払うことなくモチベーション上げさせ続けています。
ー それはどうやって?
それは見て頂いた方がいいです。接し方とか、投げかける言葉とか、そういうことです。それをものすごくこまめにやっています。あと、相手が望んでいるものを出すということです。こうなりたいとか、こういう能力を身につけたいとか、みんなあるわけじゃないですか。僕と付き合うことでそれが伸びるんだということを伝えています。
そして、ちゃんとそれをやってあげてる。やりたいことだったらみんな頑張るに決まってますから。もし「引越しするんで、丸一日引越しの作業全部やってください」と言われたら、「なにそれ、お金くれるのですか?」と思います。しかし、もし、米倉涼子さんが「私の引越を全部やって下さい」と言ったら・・・
ー 行く行く!(笑)
行きますよね。「何人でも連れて行きます」みたいな。人は自分がやりたいことは、ギャラなんて要らないんです。やりたくないことは、お金払わなきゃやらないですけど。僕は、みんながやりたいことしか目の前に出さないから、みんな楽しいからやっています。考え方がまるで違います。出費が少ないため、赤字になる可能性は全くないです。事業規模を拡大したいと思っていないですし、横ばいで大歓迎なのも、普通じゃないかもしれません。
目標は持たないほうが、大きくいける
この延長上に何が起きるかワクワクするのが好きなのです。次々案件が降ってきますから、その中で面白そうなものだけやればいいので、一年後が予測できません。まさか出版会社をやるとは思っていませんでしたし、まさかプロアマのゴルフコンペをやろうなんて思っていませんでした。
過去の人生においても、銀座でクラブやったり料理屋をやりましたが、そんな目標一度も持ってなかったです。ということは、目標を持つことで、スケールが小さくなるのでは?と思うんです。目標は持たないほうが、僕の場合は大きくいけます。
必要な努力を見極める
ー そういう考え方になったのは、いつ頃からですか?
40過ぎぐらいですね。でも30歳で銀座でクラブをやったときに「自分で何でもやろうとしなくていいんだ」と思いました。努力の方向が違うという事に気づいたのです。人間関係を築く力さえ身につければ、ほかの努力は極論いらないということです。銀座のホステスで、「いつかは自分の店を持ちたいんです。」という目標の子達がいますが、僕はママに協力してもらったおかげでいきなり初日から満員。イチから自分で物件を探して女の子集めてお客さん集めて内装して…。この流れを選んだら時間もお金も10倍かかります。
[adchord]ワープを知れば、夢は現実になる
「なんでワープしないの?」と言いたい時があります。ワープの仕方がわからない人は、いろいろ積み上げて、夢だ目標だと言いますが、でもワープの仕方が分かっていたら、夢でも目標でもないと思います。今から100年前はアメリカに行くのが夢だったと思いますが、今は夢じゃないじゃない。できると思ったら、夢ではなくなる。
やらなくてもいい努力ばかりしている人が多いと感じます。みんなに正しいがんばり方を教えてあげたい。無駄な努力をやってる暇はないです。一回これを習得すると、どんなことにも通用するので人生が楽しくなります。
ー 大事なものが違うんですね。
そうなんです。ワープしかしないと思ったら、達成スピードが速いです。ワープが得意な人の考え方をとにかく真似るのが一番の近道と思います。
【略歴】
内田雅章(うちだまさあき)
TOP CONNECT株式会社代表取締役社長
1970年愛知県生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、三和銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。システム部、東京本部審査部等を経て、2000年に退行。その後、マンションデベロッパー、仕出し弁当販売、銀座のクラブ経営などを経て、日本ベンチャー協議会事務局長に就任。そこで培った社長ネットワークを活かし、2004年株式会社就職課を設立。現在は人脈を切り口とした新規事業創出および事業アライアンスのコンサルティング業務を軸に執筆・企業研修・全国での講演など幅広く活動中。2014年にはTOP CONNECT株式会社を設立し、トップダウン営業支援に特化した提案コネクトサービスを展開中。
主な著書:『すごい! ビジネスモデル』(万来舎)、『図解「人脈力」の作り方』(講談社+α文庫)、『すごい! 人間関係力』(PHP研究所)、『政治屋失格』(ビジネス社)、『5つの仕事力』『伝説の就活』(以上ゴマブックス)など多数。