会社員時代にダブルワークとして放置自転車ビジネスをスタートし1年後に独立。現在は中東・アフリカへ放置自転車を輸出する事業を展開する一方、寄り添うコンサルタントとして行動力アップに関するノウハウを、各方面で公開し実績を上げている。特に行動力アップに関するノウハウは、本人も認める「マイペース」ながら、しっかりと結果に結びつけることが出来るメソッドが詰まっていると、これから起業を目指している方たちがお忍びで学びに来るほど注目を集めている。
アンドアクション代表海老沼昌享(えびぬままさゆき)氏に、ダブルワークから起業までの流れをスムーズに成功させるための秘訣をとことん聞き取ります。
ニッチなビジネスに飛び込む!
ー 「寄り添うコンサルトント」という肩書はとても興味深いですね。しかも、海老沼さんの雰囲気から寄り添うという言葉がしっくり来るので、違和感なく受け入れてしまう自分が怖いです(笑)。本日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。出来る限り寄り添ったお話をできるように心がけますね(笑)
放置自転車ビジネスっていったい何?
ー 現在放置自転車ビジネスというお仕事と、行動力に関するメソッドの公開というお仕事に携わっていると思うのですが、まずは放置自転車ビジネスについて少しお話いただいてよろしいですか?
放置自転車ビジネスとは、マンションやアパート、商業施設や大学など、主に民間が管理する敷地に放置されてしまった自転車やバイクを、正当な手続きをもって撤去・回収し、海外業者へ引き渡すというサービスです。
ー 非常に社会的意義も高い、面白いビジネスですね。
発展途上を陰で支える立役者?!
自転車を放置されて困っている人を助け、発展途上の国へ紡ぐことで、海外の方々からも喜ばれているので、非常にやりがいを感じています。
ー プロフィールにサイクルストップグループとありますが、これはどういったグループなのでしょうか?
サイクルストップグループとは、私が放置自転車ビジネスを開始する時に、そのノウハウなどを教えてもらうために、独立した事業者として加盟した、放置自転車業界のリーディングカンパニーが運営する放置自転車ビジネスグループの名称です。加盟者はパートナーと呼ぶのですが、私はサイクルストップグループの独立した事業パートナーとして現在仕事をしているのです。
会社員から突然起業の選択肢が舞い降りる
ー 放置自転車ビジネスというのは、正直耳にしたことがないのですが、そのビジネスは何でお知りになったのですか?
これは起業のきっかけになるのですが、その当時の私は、会社員に対して漠然とした不安と不満は持っていたんですね。でも、具体的に何かを考えていたということではありませんでした。そんなある日、友人家族数組でバーベキューをしていたのです。
その時に友人のひとりが「俺、会社辞めたんだ。近いうちに引っ越しもするよ。」と突然の告白をされたんです。その瞬間周りが一気に「どうした!どうした!」となって…(笑)
友人のある一言が起業へと一気に舵を取ることに
その辞めた理由を尋ねてみたら、さらっと「サラリーマンはもういいかなぁと思って。自分で仕事を始めようと思うんだ。」という返答に凄く衝撃を受けたんですね。
それまでは、漠然とした不安や不満に対しての対処法は、転職という事しか考えていなかったのですが、その話を聞いた時「起業っていう選択肢も有りなのだな」と思ったんですね。そこで初めて起業を意識をするようになったのを覚えています。
初めて起業を意識した時に何をした?
ー 起業を意識して、何をされたんですか?
まず本屋に行って、どんな仕事があるのかを探してみました。すると本当に色々なお金儲けの本があって、でも何かしっくりくるものが無くて…
そんな時に、「放置自転車ビジネス開業マニュアル」という本がいきなり目に飛び込んできたのです。とても衝撃的で、パラパラと立ち読みしてすぐにその本を購入して、本屋さんの隣にあった椅子に座ってその場で読破しました。
衝撃が走った運命の出会い
ー すごいですね!その時どんな感覚だったか覚えていますか?
よくわからないのですが、「全ての霧が晴れた」ような感じがしたんですね。
放置自転車ビジネスという面白そうなビジネスの存在を、本で知ってしまったことで、「このまま何もせずに5年10年経った時に起業を選択しなかった自分に対し絶対に後悔するだろうな」と思い、すぐに放置自転車ビジネスセミナーに申込んだのです。
そしてビジネスに携わるようになりました。この本に出会っていなければ、恐らく今もサラリーマンの可能性は高いでしょうね(笑)
入れ物はひとつじゃない
― 転職としての選択ではなく、起業家としての未来のイメージの方が明確に見えたということですか?
会社員としての目線で物事を見ると、「現状を変えるには会社という入れ物を変えるしかない。つまり転職ですね。」という発想になりがちだと思うのですが、実際には世の中に選択肢はもっと沢山あって、その入れ物の中から出てみる。イコール起業というのもあるんだと思ったのです。
そういう物事の目線で見ると、私には起業した先に見えるイメージが素晴らしく明確に見るようになったのです。今まで起業なんて考えたこともなかった人間なのに、起業の未来が明確にイメージできたというのはおかしな話ですが、イメージ出来てしまったのです(笑)。
起業して失敗しないためのアンテナ
ー きっかけを見つけられるというのはタイミング?運?それとも何かありますか?
タイミングや運を掴むには、アンテナを張っておかないと掴めないと思います。アンテナというのは自分の人生において、「向かいたい方向」や「やりたい方向」や「目標」を明確にすることで、自ずと伸びてくるのではないかと思っています。
私の場合は友人との会話がきっかけで選択肢が増えたことで、向かいたい方向がどんどん明確化され、一気にアンテナが伸びていったのだと思います。そして、そのアンテナにかかった物を、純粋に自分の目で確かめたことが良かったと思いますね。
目に見えない物は行動で具現化する
多くの人はアンテナに何かがかかったとしても、行動に移さなかったり、出来ない理由を見つけて、その正体を確かめずにスルーしてしまう。
チャンスや運というのは目に見えない物なので、素直に行動に移して目に見える所まで具現化させなければ、結局はチャンスや運をつかむことは出来ないと思うんです。
アンテナの精度を高める方法
ー アンテナを張るために、将来のイメージを湧かせやすい方法はありますか?
ものすごく大きな目標とかでなくていいと思うんですよね。「単純に釣りに行きたい」とか「自分の自由な時間で自転車に乗りたい」とか、自分がこうあったら良いな、楽しいなというポイントを見つける。
多くの人は、「そんなことできないよ」とか、どちらかというと否定から考えてしまうので、否定せずに思ったことを受け入れてイメージする。そういうのを積み重ねていくとアンテナの精度も高まってくると思いますし、イメージも見えてくるのではないかと思います。
起業を決めたら、まずは家族を安心させる
ー 起業を決めた時、周りの反応はどうでした?
自分の気持ちを素直に伝えたので家族からの反対はなかったですね。どういう気持ちで今まで働いてきて、これからは起業してこういう未来を描いていて、家族に対しても「こう接していきたい」「幸せにしていきたい」という思いを私は伝えました。
ー 周りから反対される方もいらっしゃると思いますが、そういった方はどうしたら良いですか?
働き方は色々あるので、ダブルワークからスタートしてリスクを少なくするやり方を選ぶのもひとつだと思います。
実際私の場合も、家族は賛成してくれてはいましたが、副業から開始したことで、ビジネスに対する本気度とか、ビジネスから得られる収入などを、出来る限り形にして不安をさせないようにしていきましたから。
その他には、充分な貯えを持っておくことも必要だと思います。家族は必ず心配するので早く結果を見せて安心させてあげる。とにかく、副業でも何でもリスクを最小限にとどめる方法を探すがいいと思います。
本質を知るものが生き残る
ー 起業してから5年ほどですが、その間ずっと順風満帆でこられましたか?
もちろん順風満帆というのはありません。例えば、3年目の時に自転車の海外への輸出が全て止まってしまい、集めた自転車を現金化することが出来なくなりました。自転車を集めても現金化できないので死活問題です。この時私たちの真似をして放置自転車ビジネスを始めた人たちの多くは、辞めてしまいましたね。
必ずピンチはやってくる
ただ、私たちには今まで積み上げてきたノウハウがあるので、輸出できなかったとしても、現金化する方法があるので、程度の良い自転車を中古自転車として国内に販売することで、難を乗り切りました。
4年目には自転車の輸出も再開したことで、輸出とこの自転車販売という2本の柱で売上を上げる事が出来るようになりました。他社が廃業していく中で、収入の柱をもう一本つくり、売り上げを作れることが出来たのは、本当にポンチをチャンスに変えた例だと思います。もちろん売り上げは大幅にUPしましたよ。
他社は廃業しても私が残れた理由
ー ピンチをチャンスに変えることが出来た秘訣は何でしょうか?
「何とかしなくてはいけない!」という思いからですね。もちろん、一気に自転車の販売を伸ばしていったわけではなく1台1台コツコツと堅実に売っていった結果大きな売上げに繋がったのだと思います。一発逆転ではなく、野球で言うとフォアボールで出塁して、送りバントで進塁するようなイメージですね。
ダブルワークの危うさを知る
ー これやっちゃたなぁという事はありましたか?
放置自転車ビジネスにたずさわって1年目のことなのですが、その当時はまだ会社員とダブルワークで仕事をしていたのですが、放置自転車ビジネスからの収入の上がってきて、会社からの給料と、両方からのそれなりの収入があったのです。
その時、うっかり満足してしまいまして。ビジネスが停滞してしまった時がありました。(笑)
給料の他に、毎月10万円とか収入が増えると、自由に使えるお金が増えるので、満たされたような感じになってしまったんですよね。本当は結果を出して会社を辞めようと思っていたのに、満足度が高くなるにつれて、「今のままでも支障はないかな」と思うようになってしまったのです。
何となく満たされたような感じになると、いつのまにか「会社を辞めて起業して本腰を入れる!」という踏切りがつかなくなっていましたね。
師匠の教え
ー そんな中で結果的に独立している訳ですが、気持ちを持ち続けられた要員は?
はっきり言えるのは、師匠の存在があったからですね。
実を言うと今だから話せますが、私は行動スピードがとても遅かったのです。恥ずかしながら、「海老沼タイム」と揶揄されるほど、とにかく師匠には常にスピードが遅いことを指摘されました。
そのスピードに対する意識と判断基準を正してくれる厳しい存在があったので、間違いながらもここまで来られたのだと思います。
答えを導き出す為に
ビジネスは答えが無いので、誰に相談するかということが本当に重要だと思うのです。相談相手を間違えてしまったら、間違った方向に進んでしまう事は当たり前にありますし、最悪の結果を導き出してしまうかもしれません。だから、どういう人と付き合うかというのがとても重要だと思います。特にお金が絡むビジネスであれば本当に相談する相手は大切だと思います。
― スピードはとても大切ということを耳にしますが、そんなに遅かったのですか?
私はどちらかというと、考えすぎてしまうタイプの人間なのかもしれないのですが、もともと「マイペース」だと思うのです。マイペースは、場を和ませたりすることが出来たりと良い面は沢山あるのですが、外から見ると「先延ばし」という悪い面もあると思うのです。
スピードの概念は宝になる
ビジネスでは、スピードは信頼に直結するということを、とにかく叩き込まれました。会社員時代は、何となく全体がゆったりと流れているというのが普通でしたので、スピードに対する考えやスピードから得られるメリットについて考えることは一切ありませんでした。ですので、スピードの概念を叩き込まれたのは、私の宝かもしれません。
それでも、「マイペース」という性格は大きく変わらないので、そんな性格の私でもスピードをもって動けるようなノウハウを構築していったのです。
寄り添うコンサルタント!?
― それが寄り添うコンサルタントということに直結するのですか?
そうですね。行動力というのは自分ひとりで早くしようとしたり、沢山動こうと思っても、いきなり変わらないんですよ。
「スピードを持って動こう!」と思っている時点で、すでにスピードが遅いということの証明ですし、そのスピードの基準も人それぞれなので、わかりにくいのですよね。
物差しの基準を変える
「がんばります!」という言葉がありますが、自分では頑張っているつもりでも、外からは全然がばっている様に見えない人がいると思うのですが、その物差しが、初めからスピードのある人と違うのです。
だから、その気持ちが分かる人が、きちんと寄り添ってあげることが必要だと思うのです。もちろん、私自身が行動力を高めてきたこともあるので、そのノウハウをしっかりとお伝えさせてもらっています。
想像の話を心配するな!
ー 海老沼さんの元に相談に来られる方はどんな人が多いですか?
「起業してやっていけるかな?」という相談が一番多いですね。ただこれもそうですが、「やっていけるかな?」というのは、想像の話であって、考えすぎていると思うのです。言うなれば、「行動と思考のバランスがきちんと取れていない状態」という感じです。
その行動と思考のバランスを、私がクライアントに寄り添いながら一緒に作り上げる。それがいま私が一番力を入れているポイントになりますね。
スピードはもちろん大事なのですが、その大前提に行動と思考のバランスを整えてあげることが必要だと思うのです。
そうすることで、スピードがついてくるという感じです。
ー ご自身がマイペースさんだからこそ、気持ちが分かるということですね?
もちろん行動を起こすというには、モチベーションといった心の要素はとても大切だと思います。だからこそ、気持ちが分かる人間が、時には厳しく接しながらも、寄り添ってあげる環境が必要だと思うのです。
誰もが驚くような失敗をしないことが一番大事
私は、誰もが驚くような失敗はありませんし、とにかく動き回って結果を出してきたというタイプではありません。
もちろん、ドラマチックな一発逆転の物語もありません。ただ、堅実に実直に自分とビジネスとお客様と向き合い、結果を出してきたことは何よりすごいことだと思っています。
「実直さと行動」私はこれを心に、これからもビジネスに取り組み、楽しいライフスタイルを送っていきたいと考えています。