実業型コンサルタント竹内謙礼氏の現場力とは?

世はまさにインターネット社会。会社運営にあたってもネットをどう活用するか悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか。その中でもひときわ輝く、ネットビジネスと実店舗の両方で力を発揮する実業型コンサルタントの竹内謙礼(たけうちけんれい)さん。コンサルタントになったきっかけからコンサルタントとしての心構え、ビジネスでうまくいく人といかない人の違いについて、とことん聞き取らせていただきます。

add

講演・コンサル・執筆、3つのカテゴリー

僕の仕事は3つカテゴリーが分かれていて、1つが講演会セミナー関係で、もう1つが会員制のコンサルティング、それに加えて本の執筆という3つですね。本の執筆によって知名度が上がって、講演会の依頼が来て、企業のコンサルタントから依頼が来て、そのセミナーを聞いた人が今度会員制の「タケウチ商売繁盛研究会」という研究会の会員さんになってくれて、その人たちがまた僕の本を読んでくれる。この3つがぐるぐる回っているのが僕の仕事です。

だいたい他のコンサルタントさんって、それぞれ1つなんですよ。本の執筆だけで終わる人、セミナーだけで終わるとか会員制(コンサルティング)で終わるというんですか、それだとやっぱり寿命が短くなっちゃうというか、うまくこれを回転させないと息の長いコンサルタントにはなれないと思うので、今は3つ回しているという状況です。

ネットビジネスで活きた元出版社の経験

― コンサルタントとしてのお仕事というのはどのくらい前から?

早いもので15年目です。最初はコンサルタントになるつもりはなかったですね。元々出版社に勤めていたんですが、文章書いたりとか文字校正するのが本当嫌になって、それで観光牧場に転職しました。2001年ごろインターネットビジネスをやろうという話になって、写真も撮れてまとめられるのは誰だって言ったら元出版社だ、僕がそこでホームページやったら当然やっぱり他の素人がホームページ作るよりうまいじゃないですか。

文章書くのがそもそも本職だったから、メルマガもやっぱり他の店よりも面白く書けるし、それで一気に観光施設のネットビジネスがバーンと売り上げ伸ばして。当時は楽天市場もネットビジネスを売り出したいところがあったので、事例としても、観光牧場という田舎の観光牧場の人たちが都会の人たちに牛乳を売るとかヨーグルトを売る、アイスを売るというのがストーリーとしては綺麗で、どんどん取り上げられていきました。

「コンサルタントにならないか」という甘い罠

それから全国のセミナー呼ばれるようになって。講演会すると「ちょっとうちのホームページ見てくれないかな」みたいな話をもらって、「こういうこともあるんだな」と思っている中で、地元の会社の社長さんから「うちに来ないか?」という引き抜きのような誘いがありました。

地元の田舎で引き抜きやっちゃうと後々面倒くさいと思っていたら、そこの社長に、「コンサルタントになればいいじゃないか。そしたら今のお前の勤めているところと俺のところと両方面倒見れるよ。会社の出資とかも全部するよ」って言われて、「ああそういう手があるのか」。ということで、会社に辞表を出して、「俺はこれからコンサルタントになって、両者面倒見ますから」と言ったら、当然昔からいる会社は怒るわけですよね。

僕は新しい会社から出資もしてもらって、コンサルタントでできるかなと思ってたら、まあ僕も若かったんですけど、結局そこの会社は僕の勤めてた観光牧場の売り上げを落としたかっただけでした。

[adchord]
add

決断の時

コンサルタントとして独立したはずなのに、結局は僕を引き抜いた社長の会社に取り込まれてしまって、事務所もその会社の倉庫の2階みたいなところに連れていかれて。あとあと考えたら、もうそんなリスクのない起業なんてあるわけないんですよ。「お前の仕事も用意するから」とか言われたけど、そんな仕事もない。このエリアでちょっと目立ちすぎたんですよ。

引き抜いたのは地元でも大きい会社なんですけど、やっぱり観光牧場の活躍が面白くなかったから「敵を潰すには誰抜けばいいのかな?あ竹内抜いたほうが早いんだ」という。でも結局仕事もないし、「話違うじゃないか」と言ったら「いいからお前は俺のカバン持ちだ」みたいな話になって、でも元の会社には戻れなくて。家のローンはあるし子どももいるからどうしようかなと。

今思えば「甘かったな」と自分でも思います。手元には退職金が10万円くらいしかなくて、10万円で買えるのはパソコンくらいしかないから、「コンサルタント本当にやるしかないか」ってコンサルタントになったのが経緯です。

―それが15年くらい前ですか

15年前の33歳のときですね。だからその会社でその後もずっと仕事もなく、隅っこの方で居続けるのか独立するのか、すごく悩みましたよね。子どももいてローンもあるんだったら、騙されてもいいから会社にいるべきだったんですけど、それはまずいだろと。

ネットショップでセミナーとかやってた手前もあったので、まあ地元で頭下げながら「お仕事ください」って周れば年収150万くらいになって、嫁も保母さん(保育士)の資格持ってるから、2人合わせて年収300万くらいで高卒の子ども2人くらいは育てられるんじゃないかなと。そもそも志が低かったんですよ、コンサルタントになった理由は。金なんか稼げないと思ってたから。だから「話違うから辞めます」と言って辞めて、それで独立しました。

出版が転機となる

僕がちょっと良かったのは、やっぱり元出版社だったので、友達に「会社を辞めてコンサルタントになった」と言ったら、「本出してみない?」と言われて、本を書いて出したら、ネットショップ黎明期だったこともあって当たったんです。それをまた別の出版社さんが売れた数字見てくれて、「うちで書かないか」という話になって、そのあとからずっと本が出たらセミナーして、本が出たら会員さんが増えて、あれよあれよという。

本来は楽天市場のネットショップのコンサルタントという流れで着地したいところもあったんですけど、キャッチコピーの本を1回出しちゃったから、「これ実店舗もできるんじゃないかな」と思って、実店舗とネットがハイブリッドになっちゃったんですよ。

自分の中では「的を絞れていなくてダメなんじゃないか?」と思ったんですけど、結果的に今の時代がオムニチャネル型になって来ているので、両方できるコンサルタントって少ないよねということで、企業系のアドバイザー契約するケースは「おかげさま」でという感じですね。実店舗からインターネットになったり、インターネットから実店舗になったり、ハイブリッドでやった方が良いかなというところはありますよね。

書く速度が全ての源

元々編集者だったこともあって書くのが速いんですよ。1冊がだいたい30代の頃だったら1週間かけて書いてた。元々書く系の出版社だったので、ライター養成まではいきませんけど、それほど大きくない出版社だったので、自分で取材して書くことが結構多かったです。たしかに1冊書くのってきついんですけど、1週間くらい時間丸々もらえれば、そこそこのクオリティのものを出せるんですよ。

今だったらちょっと体力の問題もあるけど、校正の時間とかも入れたらだいたい2週間から3週間くらいで1冊上げられるんですね。だから本を出す速度が速いから、お客さんが入ってくる速度が速いんです。

常に誰よりも最新のネタを維持できる理由

普通のビジネスもそうなんですが、抜けていく速度の方が圧倒的に速いから、入ってくる速度を上げないと売り上げって保てない。僕は特別なネタを持っているわけじゃなくて、お客さんの流入速度が他のコンサルタントよりも速いというだけの話。

お客さんが入ってくる速度が速いと入ってくるネタの情報も速いし、それを処理する速度も速いから、「最先端の仕事を持ってますよ」というのが、僕のコンサルタントのリーチが効いているところがあるので。だからコンサルタントとしての能力は自分で言うのも何だけど7番バッターというか、そんなに打順が高くないんですよ。

そんなにもっと高かったらたぶん何かの専門家としてやってます。バラバラでやっちゃってるのは、たぶんそこのところがノウハウよりも書く速度とまとめる速度がちょっと速いというところがあるんじゃないですかね。

― 量よりもスピード?

量とスピード、両方ですかね。質も当然取りに行くんですけど、でも他のコンサルタントは元々出版社に勤めてないし、書くのが得意じゃないから書くのが遅いんですよ、絶対的に。だから僕は負けないですよたぶん。書く速度が速い以上は。

コンサルタントは技術職

多いんですよ最近コンサルタントになりたい人。よく聞かれます。名刺交換したら「コンサルタント」ってあるんですけど、そうなると僕を真似ようとして僕と似たようなことやるんですけど、書く速度が速くない限りは僕には勝てないですから。だからほんとに技術職ですよ。職人ですよ。

コンサルタントってタレントだから、なんかノウハウがすごい良いとかじゃなくて、自分の知名度をどうやって上げていくかというところのノウハウなんで、ノウハウの持って行ってる時点がみんなちょっと違うのかなって思います。まあ時代背景も当然ありますけど。

― 今の一言が本当に本質ついていますよね。

コンサルタントって儲かる人は依頼してこないし、儲からない人は頼めないし、本来は世の中に存在しちゃいけないんですよ。

コンサルタントってよく「売り上げを伸ばすことがお前できるんだったら、お前がやれよ」みたいなことを言われるんです。それをやっていないからみんなに「インチキだ、嘘だ」みたいなことを言われちゃうんですけど、売り上げを伸ばす確率なんて、10個施策やったら1個くらい、せいぜい1割なんですよ。

コンサルタントの役目って外したときに次の一手を出せるか出せないかなんですよ。次の一手を出せる人は絶対情報量の勝負なんで、情報量を持ってない人は次の一手が出せないというところはやっぱりあるかな。

日経MJの仕事などで取材に行くと、「コンサルタントが何しに来た、うちのネタ盗みに来たのか」みたいな感じで門前払いとか、ざらにありますよね。あと1回現場で許可が下りたときに、上の方で「うちの会社にはコンサルタントは出入り禁止だから」って言われたり。僕は必ず日経MJで外に出て知らない人に取材するから、「お前誰だ」的な状況になっちゃうんですけど。

取材から繋がる絆

僕の日経MJの紙面って、記者が追えないような小さな事例を追っていくというのが使命なので、何がなんだか分かんない人にも当たっちゃう。全面書き直されることもありますよ。
前提として僕のこと知らないから、素人のブロガーみたいに思われていて、日経MJが少年ジャンプみたいな全国で大人気の媒体だったら楽なのですが(笑)知る人ぞ知るみたいな新聞なので。でも、分かってる経営者さんとかスタッフさんとかだったら、「え?まじで?すごい!」って反応してくれます。

― 日経MJの記事は面白いですよね。

業界で知ってる人が読んだりするとそう言ってくれるんですよ。客引きに繋がるって分かってくれている人は、結構「竹内さん、竹内さん」と言ってくれます。ただそういう社長に限って、取材の終わりがコンサルタントになるみたいな。だから結局コンサルティング接待期間だから、「ちょっとうちのホームページ見て行ってくれない?」ってただ働きになっちゃうのもあるし、逆に例えば展示会に出向いて「ネタ教えてくれないか」って言ったら「絶対教えない」って言うからもう一回展示会に行って、「ちょっとお店手伝わせてくれないか」ってお手伝いさせてもらって。「お前良いやつじゃん。何か聞きたいことある?」ってやっと取材できたりとか。

原稿出して、確認取って、今度見本誌送ってみたいなのがあるから大変ではありますけど、おかげで現場力はつきました。なんか訳の分からない現場に連れていかれて突然取材しろって言われて。一応肝は据わってるんで。コンサルタントってそういう意味で言えばしょっぱいですよ。最近はそういう怒鳴られ系はなくなりましたけど、「お前なんか目障りだから消えろ」とかやっぱりありますよ。

実業型のコンサルタントとして

コンサルタントって実業型とそうでない型の2つに分かれるんですよ。実業型の僕みたいなコンサルタントって、基本的に実業で取りに行くから、クライアントの頭が良い。もしくは本を読んでる人が多くて、勉強が好きだから、お金を払わないんですよ。あと本を読んでいる人が多いので、そもそも情報に1500円しか払わないから、そもそもお金を突いたがらないで頭が良いから、うまく利用してやろうってことで、コンサルタントが食われるケースのほうが多いです。あと要望のレベルも異常に高い。

そうでないお客さんってどんなのかっていうと、いきなり初回の初対面の3万円くらいのセミナーにお金出しちゃうようなお客さん。そういうお客さんを抱えていると、リスティング広告で情報商材売ってた人でも今でも食えていけてるんですよ。落ちぶれてないんですよ。

理由としては、例えば何かの情報を探していて、広告クリックして3万の教材買う人がいる。本屋に行けばその手の情報のかかれた本があるのに。そこでその人が3万円で教材買ったあとに、2万円でセミナーやるって言ったら「安い」って来ちゃう。こんなお客さんを5000人とか1万人抱えていたりするんですよ。だからずっと食えるんですよ。辞めないんですよ。だからコンサルタントが一番うまくいくのは、そういうゆるいお客さんをどれだけたくさん抱えられるかっていうことかもしれません。

僕の場合、本を出しすぎて勉強をすることが好きな人が来ちゃって、情報は1500円くらいでいいものが入るって、本を読むのが好きな人ってそもそもその辺りの感覚がしっかりしてる人が多いんです。だから自分で言うのもなんですけど、大変ですよ。回転数を上げていかないといけないから。

「お客さんよりも働く」教え

まだコンサルタントになりたての1年目2年目の頃、先輩のコンサルタントの先生から「コンサルタントは人の恨みとか、お金の恨みうらみを買いやすい」というようなことを教えてもらったことがあります。お金ってそもそも人の悩みとか、苦しみが詰まってるので、これを自由にコントロールするっていうのは、お金に対しての冒とくっていうか恨みを買うんですよ。だからそれを「あなた売り上げ伸ばせますよ」っていって、気軽にこんなことやっていると、お金の恨みを買って自分が不幸になるサイクルが、実はコンサルタント業界にはあるって話を聞いて。

「そうなりたくないんですけど、どうすればいいですか?」って聞いたら「お客さんよりも働け」って言われたから、僕はたぶんずっとそれを守っているのかな。「楽してお金儲けをするようなことをすればいつか罰が当たる」と思って真面目にやらせてもらっています。
お客さんよりも働かないといけないと思っているから、決して大儲けはしていないんですけど、ノウハウ取るために頑張るし、お客さんが困っていたら助けに行きます。ボランティア精神の方が強くなっているというか、震災とか水害とか、ボランティアにも行きます。ヘルメットとか被ってガーっと土出していったりとか、なんか炊き出しやったりとか、なんかやっちゃう。

[adchord]

コンサルタントになりたい人がいたら止めます

他のコンサルタントに比べたらフィーもそんなに高くないし、100万200万の話じゃないです。企業契約も多いわけでもないですし。そもそもお客さんからの質問もきついし。そうなってくると質問に答えるために勉強しないといけない。もし誰か「コンサルタントになりたい」って人がいたら止めますよ。

実業型で行ったらまず儲からない。気の毒な話ですけど、真面目にやっていてノウハウ持ってる人が一番儲かってないんですよ。やっぱり僕もネタ持っている人にヒアリングしに行く時があるんですが、その人はすっごいいいネタ持ってるんだけど、事務所の裏側に寝袋があったりとか。あと地方から東京に来たときに「会ってください」って言われて会って、「じゃあ」ってそのまま夜行バスで大阪に帰っていく人とかいるんです。
僕はそれでもサラリーマンやってた頃よりは収入面で生活がガラッと変わったところもあるので。そういう点から考えるとコンサルタントになって良かったなっていうのはありますね。

現場で活用できる成功事例

― 著書「200社に足を運んでわかった お客さんがホイホイ集まる法則」についてお伺いします。

5年前から日経MJの連載をさせてもらって、タイトルは200社なんですけど、今の時点では280社くらいやらせてもらって、その中で厳選した自分のこれだっていう成功事例を50だけ絞り込んで出させてもらっています。基本的に表に出て来ない成功事例を50個もまとめた本って、あんまりないんですよ。

― かなりすごいと思います。

しかもその成功事例をただ書くだけじゃなくて、「あなたの会社だったらこういうことに応用できますよ」「こういうことに転用できますよ」っていう話を添えていて、一冊だけでビジネス書のノウハウ本としても役立つところがあります。ぜひ購入していただければと思います。

― 事例が詳細でなおかつ簡潔なんですよね。とてもシンプルでイメージがわきやすい内容でした。

世の中に出ている本って、大きな会社の成功事例しかなくて、でも大きな会社の成功事例って小さな会社に転用できないケースが多いんです。この本はほんとに資本の少ない個人事業や副業くらいのレベルから、サラリーマンとか小さい会社の経営者とか、みんなが役に立つ話になっているので、ぜひ買っていただければと。よろしくお願いします。

情報の集まる仕組み

― 私も色んな本を読ませてもらいましたが、これだけ事例が網羅されているのは無いと思います。

ありがとうございます。そう言っていただけると本当に。これがずっと連載が続いていけば第2弾第3弾出せるかもしれないし、僕にとってはちょうど情報の仕入れになるので。その「取材に行く」と言いながら、やっぱりそこで学びもあるし、自分を成長させてくれるような話も聞けたりします。
「コンサルタントは元手がかからない」「原価がかからない仕事」って言われたりするんですけど、基本的に情報の仕入れにはお金がかかります。でも自分がこのカテゴリーのこのビジネスのことをもっと知りたいと思ってアポ入れたら、日経MJの看板があるから入ることができるし、日経MJって名前で話を聞きだすことができる。それで更に人脈も作っていけるっていうところもあるので、おそらくですけど、この連載をやっている限り僕はこのコンサルタント業界ではトップのほうに居られる。

本当に最先端の新しい情報が僕のところに集まる仕組みができているので、これ読んでいただければ、そういうイメージも付いてもらえるのかなって。僕のことを理解してもらえる良い本になっているとは思います。

ビジネス書著者ゆえの苦悩とは

今世の中に出ているビジネスのベストセラーって、僕は目通せないんです。書いてあることがちょっとでも頭の中に残っちゃうと、本に載せちゃうから、そうするとたぶん1回でも「この人言ってることいつも同じだな」とか「この人いつも出てるあの本と同じこと言ってるじゃん」ってブランドが一気に下がっちゃうので。

本当は売れているビジネス書は気になるので読んでみたいんですよね。でもそれをやっちゃったらちょっと、ビジネス書を何回も書かないといけない人にとってはきつくなって劣化していっちゃう。でもそこは自分のブランディングとしては、ちょっと気を遣ってるところがありますね。

うまくいく人には大義がある

― ビジネスで色んな成功事例・失敗事例を見られてきていると思います。うまくいく人・いかない人の違いは?

コンサルタントやっていて、一番多く質問されることってそれなんです。「うまくいく人・うまくいかない人の違いってなんですか?」って。簡単にざっくり言っちゃうと、うまくいく人って「大義」があるんですよ。
例えば江戸時代から明治にかけて天皇に主権を戻そうって動きも、大義があったから、命をかける人たちがいた。大義があると大きなことが超えられるんですよ。この流れと同じで、僕らも、例えば子どもの運動会だって言ったら2日酔いだろうがなんだろうが、朝から並ぶじゃないですか。あれも大義があるんですね。人間って大義がないと超えられないんですよ。

でも最近のビジネスって、ネット・実店舗・DMはあるで、ネットに関してはSNS・スマホ・動画がある。やらなきゃいけないこと、学ばなきゃいけないことが山ほどあるんですよ。これをクリアするためには「大義」がないと超えられないんですよ。大義がない人はそこのたくさんの仕事量を超えることができないから。

逆に失敗した人は、売り上げを重視しすぎたり、成功したいことだけの話をしていたりしますね。たまに会社の壁のところに「今月の月商の目標3000万」とか書いて、数字だけを追わせたりしている社長でうまくいった人を見たことがない。工務店業とか自動車販売のような業種ではありかもしれないけど、オリジナルの商材を取り扱うような大義が必要なビジネスの場合は、もう今はちょっと時代が違うかなって。

露骨に差が出る大儀の深み

そこに大義がないから、頑張れないから、頑張らない選択を取る人が多い。よくネットの勉強会で参加者全員が目標金額を発表して、それに向かって頑張る仕組みとか、正直、「きみたち大丈夫か?」って思いますよね。あんなの教えている側の成果を出させた時の自己満足でしかありませんから。もう売上を伸ばすために体育会系的なノリは卒業して、もっと大義というものを考えていかなくてはいけない。

だから例えばですけど、うちの従業員に対して日本で一番高い給料を払って、うちの商品を使って世の中の犬を救いたいとか、地域で一番大きい会社になって地域全体を盛り上げたいとか、そういう大義がないと。大義がない人って、例えば家族4人が幸せに食っていければいいとか、あと子どもが大学行ければいいとか、今日の給料もらえればいいとか、大義が小さくなっちゃうと、簡単に自分の大義を超えられちゃうから頑張らなくなるというか。だからなんか食っていければいいっていう社長さんはうまくいかないですね。

そこの大義の違いが、勝った人と負けた人と最近は露骨に出ているなっていう気はちょっとしていますよね。「売れればいい」って大義の薄い人がいるんですけど、そう言う人ってネットのセールでどれだけ売り上げを出すかしか考えていない。そんな薄っぺらな大義だからビジョンが小さすぎるし、結局頑張ることができないから事業そのものが長続きしないんですよ。

[adchord]

商売について深く考える意味

― やりきる力もないし、何とかするっていう腹決めも弱いんですよね

こんなこと言うと怒られるかもしれないけど、この2018年に「これからの時代はネットショップだ!」って言ってる人って相当アンテナ低いと思うんですよ。「まじか。もっと勉強した方がいいんじゃないの!?」って思うときはやっぱりありますよね。もっと「自分がなんで今ネットショップやらないといけないのか」、「なんで商売やらないといけないのか」、もうちょっとなんか商売って深く考えなきゃいけないところがあるのに、浅く行っちゃってるっていうのが、最近は若い世代にはそう感じるところはあります。

でも、中には飛びぬけてスキルの高い人もいるんですよ。やっぱり動画とスマホとSNSの環境で育ってきた社長さんには、絶対勝てない。どんなにノウハウを持って闘いに挑んでも、世代の差や考え方と価値観が違うから。同じように30歳のSNS使ってる社長と僕がSNSのノウハウを持って闘っても、絶対負けるので。感性と感覚と情報戦でね。

― 鋭いんですね。

僕らのときに、ネットビジネスうまくやる人ってファミコンやった世代が強かったんですよ。ファミコンやんなかった世代はパソコンになじめなかったんですよ。ギリ僕はパソコンとかゲームをやった世代だから、そんなに違和感なかったんだけど、スマホからちょっとずれ始めたんですよ。アパレル関係でスマホが強いのは年齢層が若いっていうのもあったりするんですけど。若い世代の人たちにまともにSNSと動画とスマホで闘うのは僕でもすごい難しいですよ。だけど若い社長と日経MJの取材とかで会うと、やっぱり楽しいですよ。世代が全く違う人。若いっていいなとも思います。

週1で出すメルマガをぜひ読んでほしい

今後もやっぱり本はどんどん出していく予定ですが、本よりも面白いのが僕の週に1回出してるメールマガジンです。15年くらい前に起業したときに、アドレス数200ぐらいでスタートして、今1万500くらい。週に1回配信していて15年間で1回しか休んだことがないんです。

DMもSNSもメルマガも全部そうですけど、1回でもそのサイクルを崩しちゃうと、「ここは不定期で来るんだな」って思ってお客さんが読まなくなるから。だから決まった時期に決まったときに決まったものを出し続けなきゃいけない。積み重ねることをやっていかないとファンは絶対できないから。

自分が実証したわけじゃないんですけど。今1万アドレスを持ってるコンサルタントってそんな多くないと思うので、でもそれもやっぱり読んでいただけると分かるんですけど、めちゃめちゃ頑張って書いてるから。バックナンバーも僕のブログの方で読めたりするんで、ぜひちょっと見ていただければと思います。

竹内謙礼のボカンと売れるネット通信講座『メルマガ登録はこちら』

【略歴】
■竹内謙礼(たけうち・けんれい)
有限会社いろは代表取締役

大学を卒業後、出版社勤務の後に転職した観光牧場で企画広報に携わる。コンサルタントとして独立し、急速に拡大したネットビジネスの世界で、キャッチコピーにおける販売促進やネットビジネスのコンサルティングで力を発揮しているほか、ネットビジネスだけではなく実店舗でも手腕を発揮。主に、コンサルタントとしてのセミナー活動、自身が主宰する「タケウチ商売繁盛研究会」の会員制コンサルティング事業、本の執筆という3本柱で日本中の悩める経営者の手助けをしている。2013年から日経MJにて毎週月曜に「竹内謙礼の顧客をキャッチ」を連載中、取材対象は280社を超えている。

著書に「売り上げがどかんとあがるキャッチコピーの作り方」(日本経済新聞社)、「御社のホームページがダメな理由」(中経出版)、「会計天国」「相続仮面」(PHP研究所)など。最新作に、「200社に足を運んでわかったお客さんがホイホイ集まる法則」(日本経済新聞出版社)がある。

竹内謙礼のボカンと売れるネット通信講座

竹内謙礼氏の書籍一覧はこちら