寄り添いながら個々の強みや魅力を引き出すスペシャリストが提案する「伝え方」の極意!

寄り添いながら個々の強みや魅力を引き出すスペシャリストが提案する「伝え方」の極意!

自らの経験を活かし、現在は個人・企業の強みや魅力を引き出すという石田健一(いしだけんいち)さん。彼が得た数々の栄光の背景にあるもの、彼の存在を頼る人に彼が追い求めるものは何なのかをとことん聞き取ります。

石田健一

自らの強みでお客様の強みを引き出す

3年前に独立しまして、現在はパーソナルコーチ兼コンサルタントとして活動しています。個人の方へのパーソナルコーチングと、企業を対象にしたコンサルティングをやっております。会社員時代は、宣伝・プロモーションを経験していますので、個人・企業本来の強みを引き出すようなコーチングやコンサルティングを行っています。

ー パーソナルコーチングやコンサルティングというのは、どういった方にどんな形でサービス提供されているのですか?

経営者からビジネスパーソンの方まで、あらゆるキャリア、職種の方にサービスをご提供しています。初めて部下がついた方とか、会社を立ち上げたばかりで事業拡大するタイミングの方もいらっしゃいます。

例えば経営者、マネジメント層でしたら、実際部下に相談しにくい話などもありますし、ビジネスパーソンの方は今後のキャリア相談も多いですね。今の仕事に対してどのように向き合うのか、中長期的にどの分野で活躍したいと考えているかなど、ひとりひとりに合った方法でパーソナルコーチングやコンサルティングを行っています。

石田健一

営業職からクリエイティブ職へ

ー プロフィールを読ませてもらったのですが、総務大臣賞/ACCグランプリであったり、 広告電通賞などの受賞歴があります。会社員のとき、メインでやられていたお仕事というのはどういうジャンルに当てはまるんですか?

大学を出て大手消費財メーカーに入社し、最初は大阪本店で営業職を経験しました。数年後にテレビやラジオCMを制作したり、広告や商品のキャッチコピーを書いたりする社内クリエイティブ職の募集がありました。元々、モノを作っているメーカーで「広告宣伝の仕事をやりたい」と思って入社しましたので、すぐに応募しました。

クリエイティブ職に異動してから、テレビCM制作をプロデュースしたり、商品のコピーを書いたりしました。いっけん華やかな世界に見られるのですが、イメージとは違うものです。商品が売れなければ「広告が良くなかったのでは?」となりがちですからね。

広告制作の仕事を経験した後、テレビ、雑誌、WEB、PR等のメディアプランニング業務に従事しました。ブランドの広告展開をどうするのか、プロモーションは何をするのかなどを立案・実行する仕事です。

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“ズラし“で見つける組み合わせのアイデア

ー 広告というとものすごいクリエイティブな世界で、他の人とは違うクリエイティブな発想が必要なイメージですが、実際どうですか?

私も初めはそのように考えていました。小さいころから絵を描くとか物を作るとかを特に一生懸命やってきたわけではないですし。アイデアって何もない、ゼロから新しいものを生まなくてはと思っていました。でも実際は、これまでまったく何も無いものから生むのではなく、既存の物と既存の物の掛け算でできてることがある本を読んでわかり、それから考え方が全く変わりました。

ジェームス.W.ヤング著の「アイデアの作り方」という本です。「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである」と。広告に携わるコピーライターやプランナーの多くの人に読まれている本なのです。この本を20代の頃読んで気持ちがだいぶラクになりました。

一から新しいものを作らなくてはいけないのではない。既存の物をうまく組み合わせれば新しいことをつくり出せる。例えばCM好感度ランキングで長年高い評価を得ているソフトバンクのCM。あのCMの面白さを支えているものの一つに、お父さんの声を俳優の北大路欣也さんが演じているところでクセづけをしてるんですよね。あのような「うまいズラし方を見つけると、CMや商品、プロモーションの企画など面白いものになったりするのです。

「ズラす」も「ズラさない」も、視点を変えること

ー 広告関係やそういったメディアの人たちとお話すると、その「ズラす」という言葉は結構皆さん使います。

皆さんそれぞれ「ズラす」イメージは多少違ったりするんでしょうけど、ちょっと視点を変えるというか、違った側面から企画を考える際に大切なことだと思います。真正面から見るだけでなく、少し視点をズラすと新しい道が見えたりしますしね。

スーパーやコンビニで売られている商品をみていると、どの企業もマーケティングやデザインに力を入れてきていて、ある意味、みんなが「ズラす」ことをしてきているかもしれない。その中で、あえて「ズラさない」ことが、逆に王道のように見える例も出てきています。

例えば子供から大人まで人気のアイス「ガリガリ君」などは興味深いですね。各企業があらゆるマーケティングを駆使しプロモーションを展開する中、「ガリガリ君」は新しいフレーバーを加えたり、限定商品を出したりしていますが、基本というか、ベースの部分はほとんど変えていないし、ズラしていない。年を追うごとにアイスの王道感が出ている印象があります。高脂肪のアイスに比べてカロリーが低いから選んでいる女性なんかもいると聞いて、違うところに付加価値が出ているところも面白いなと思います。

石田健一

「伝え方」次第で、意見と主張が通る

ー 著書『意見・主張が通る「伝え方」』ですが、これを書かれようと思った背景は?

一番大きかったのは伝え方の重要性が年々高まっていることです。プレゼン、会議、打ち合わせ、営業の商談、交渉、面接など、以前より伝える機会がものすごく増えています。自分の意見や主張、考えを伝えるときに、相手に気持ちよく納得してもらえるかどうかがとても大切なことだと思います。

ー 著書の中の一貫したテーマは?

「相手にしっかり寄り添う」というのが、あらゆるコミュニケーションのベースにあるのかなと思います。寄り添う方法は当然相手にもよりますし、伝える側の個性というか、持ってるものによっても変わってくると思います。プレゼンなどを見ても上手に話す人が昔より確実に増えてはいますが、相手に自分の意見を伝える意識が強過ぎることで、相手に寄り添うという部分が少し欠けているなと感じるときがあります。

相手にしっかり寄り添うことで、自分の意見や考えを気持ちよく納得してもらえる。ただ自分の意見を言うだけじゃなくて、気持ちよく納得してお互いが同じ方向を向いて進んでいける関係でいられることが理想的ですよね。

先入観を捨て、目の前のことにフォーカスする

ー 「伝える」ことに対するポイントはありますか?

特に気をつけることは、相手の方の「今の感情や状態にフォーカス」することです。当然、人間だから感情の揺れもあるし、仕事に対してうまくいってる時もそうじゃないときもある。そういう時にどのように寄り添うか。数字とか簡単なロジックで表せるようなものじゃないし、そこはやはり接していく上で掴んでいくものなのかなと思っていて、それは毎回この人はこうだとか定義付けをしすぎないというのは大切かもしれないですね。先入観が強すぎて、この人がこういう人だと決めつけてしまうと 最初の接し方から間違えてしまいます。

石田健一

短い話でも相手に伝わる話し方

ー 伝え方を自分の中に取り入れられるようにするには、何かポイントはありますか?

相手にわかりやすく、気持ちよく納得してもらえる伝え方になるポイントは主に3つあります。

1点目は、順序立ててしっかりとロジックを組み立てて話をすることです。
2点目は、短く、簡潔に話をすることです。決して長く話すからわかりやすくなる訳ではなくて、どうしても、伝えよう伝えようと思いが強くなると長くなってしまうから、コンパクトに話すことによって伝えやすくなる。
3点目は先ほどお話ししましたように、相手の気持ちや今の感情にしっかり寄り添うことです。

この3点を心掛けることで、一度で相手に伝わり、気持ちよく納得される伝え方になると思います。

伝え方には「基本構造」がある

ー 著書の42ページの図(伝え方の基本構造)に関してお伺いしたいのですが

自分の意見を通して、相手に納得して動いてもらうには、「テーマ→結論→具体的理由」という「伝え方の基本構造」が大事であることを本書では提唱しています。

【1】 テーマ (主題)
【2】 結論 (もっとも伝えたいこと)
【3】 具体的理由

話の流れに矛盾があったり内容が抽象的過ぎると、言いたいことが正確に伝わりません。では、どのように話をすれば正確に伝わり、納得してもらう話し方になるのか。それには、話す順序がポイントになります。

「テーマ」について

特にポイントになるのが【1】の「テーマ」です。「テーマ」は、これから何について話をするのか、話のアウトラインを最初に明らかにします。この「テーマを先に言いましょう」というのはすごくシンプルかつ基本的なことに聞こえるかもしれませんが、とても重要です。これだけ徹底するだけでもわかりやすさは格段に変わります。

石田健一

例えば友達との間で「最近、銀座ってどう?」という会話。これは銀座のカフェの話なのか?ファッションのお店の話なのか?デパートの話なのか?「最近、銀座ってどう?」だけではテーマが明確になっていません。ビジネスシーンでは相手にわかりやすく、こちらの意図がストレートに伝わった方が良いでしょうから、テーマから話すようにするのは、伝え方の基本になります。テーマから順序よく話をしていけば、相手にしっかりと、確実に伝わる話し方になります。

今すぐ使える、プライベートでも役立ちます。

ー 著書『意見・主張が通る「伝え方」』で、しっかり読んでほしい章はありますか?

全体を読んでいただきたいですが、特に第2、3、4章は伝え方の基本をマスターできるように工夫してありますのでぜひ読んでいただきたいですね。第5章は「言いにくいことを伝える方法」「会議で意見を求められたときのコツ」など、今すぐ使える、役に立つ内容が書かれていますので、こちらもお読みいただければと思います。

ー 通常の生活の中で自分が伝えたり、話したりするときに、普段から意識してもらうためにやってほしい事はありますか?

繰り返しになりますが、「テーマ→結論→具体的理由」という「伝え方の基本構造」は、プレゼン、会議、打ち合わせ、営業の商談、交渉のようなビジネスシーンはもちろんのこと、プライベートでも応用できますので、活かしていただければと思います。

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ー この「あたたかロジカルモデル」の図はものすごくわかりやすいので、スマホの待ち受けにしておくっていうのはどうですかね。(笑)

それはとてもいいアイデアですね!ありがとうございます。本当にこのモデルに沿って話をすると、自分の考えが相手に理解されないことはほとんど無くなると思います。

次世代に残せるもの

本に限らずではありますが、次の世代に対して何か残せるのかなという視点も大切だと考えています。本のように形に残るものも大切に作っていきたいですね。「次の世代に渡す」考え方や視点を絶えず持ちながら、意識しながら生きていきたいなというのは思っていますね。

今の時代に少し閉塞感を感じている人もいるかもしれないですけど、その意識があるかどうかで、またちょっと変わってくるんじゃないかと思います。
個人が抱えている悩みや課題について、ずっと抱えないで自分の考えとかを話せる環境がもっと広がればいいなと思うし、その中の一人として、活躍できればいいなと思います。

石田健一

石田健一 (いしだけんいち)
パーソナルコーチ兼コンサルタント

早稲田大学卒業後、大手消費財メーカーに入社。営業で化粧品部門の店舗別売上全国1位を獲得。広告セクションに異動後、シャンプー、ハンドソープ、洗濯用洗剤など主力ブランドのテレビ・ラジオCMや雑誌広告の制作、ブランド戦略、コピーライティング、ネーミング開発を担当。ロングセラー商品のブランドストーリーづくりにも携わる。

総務大臣賞/ACCグランプリを始め、広告電通賞、フジサンケイグループ広告大賞最優秀賞、ACC賞など受賞多数。その後、テレビ、雑誌、WEB、PR等のメディアプランニング業務に従事。2014年に独立。現在、個人や企業を対象にパーソナルコーチ兼コンサルタントとして活躍。宣伝・プロモーションの経験を活かし、個人、企業本来の強みや魅力を引き出すコーチングとブランド構築を得意とする。

著書:「意見・主張が通る「伝え方」」 (明日香出版社)「仕事の問題は30秒で解決できる」 (かんき出版)「しゃべらない仕事術」 (クロスメディア・パブリッシング)

石田健一オフィシャルサイト