声の強化が人生を変える!?根拠のある裏付けとは

ミュージカル女優、舞台女優、メジャーアイドル、声優、ナレーターなど数多くの声のプロフェッショナルを世に送り出す一方、ボイストレーニングとメンタル面の強化を融合したメソッド、ボイタリティメソッド®の第一人者、ムラーラミュージックオフィス宮島知穂(みやじまちほ)代表に、プロの流儀をとことん聞き取らせていただきます。

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音大版ビリギャル!?の登場

ー 今、ご挨拶がてら少しお話をさせていただきましたが、「とてもパワーに満ち溢れた素敵な方だなー」という印象を抱きました(笑)ピアノや歌声も、YouTubeで聞かせていただきましたが、ホント素晴らしいですね!

ありがとうございます。今日はよろしくお願いします(笑)

ー 現在ボイストレーニング教室を3校運営していると伺ったのですが、主にどのような方が生徒さんで多いのでしょう?

一番多いのは声優さんですね。私のボイストレーニングがきっかけで、結果を出している生徒さんが増えてきたこともあり、業界では私が運営する「ムラーラミュージックオフィス」という名前の知名度が高まってきて、声優さんやナレーターなど声の仕事を目指している人であったり、すでに声優さんやナレーターとしてお仕事をされている方が、比率としては多いです。

また最近は、ビジネスパーソンにとっても、声はとても重要だという認識が広まってきているようで、経営者の方や営業マンの方も増えてきていますね。

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信じてもらった才能を、正面から受け止める

ー そのあたりの背景も含めて、じっくりとお伺いさせていただきたいと思うのですが、まずは音楽の道に進むことになったきっかけを聞かせください。

中学2年生の終わりころ、ピアノの先生から「君はピアノの才能がある。音楽の学校に行かないか?」ということを言われ意識したのがきっかけでした。

その先生に、「音楽の道に進むには、相応の学力が必要だが大丈夫ですよね?」と言われ、「はい、大丈夫です!」と咄嗟に答えたものの、実は成績は後ろから数えた方が早いほどでした。
それまで全く勉強をしてこなかったので、正直言って「どうしよう」と思ったのを覚えています(笑)

一気に100人ごぼう抜き!?

ただ、自分にそんな才能があるのであれば、「人生を変える時かも知れない。ここしかないな!」と強く感じ、必死に勉強したんです。

一気に100人ごぼう抜きをしたり、最終的には学年で上位に入るほどの成績を取れるようになり、目標の高校に進学することができました。

高校では、ピアノや歌を学びながら、音大に入るための勉強をし、名古屋芸術大学音楽学部音楽教育学科へ入学することが出来ました。

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わずか14歳で人生を変える時を感じた少女

ー 中学生が「人生を変える時かもしれない!」と感じる事は、普通はあまりないと思うのですが…

確かにそうかもしれませんが、「今だ!」と感じ取ることが出来たんです。才能を信じてくれる人もいたし、自分の才能にチャレンジしたいという思いもあったのかもしれません。

ー 目標に向かう姿を見て、周りはどうでしたか?

親は本当に驚いていました。
学校の先生も驚いていて、何度も呼び出されて「何かあったのか?」とよくわからない心配をされたのを覚えています。(笑)

ー 無事大学への入学・卒業されて、その後はどのような進路をたどるのですか?

大学在学中は、ソプラノ歌手”畑美枝子”さんに本格的に師事し、卒業後は大手音楽教室のピアノの先生となりました。初めは子供たちにピアノを教えていたのですが、マネージャーからの提案で、「大人向けの歌の教室があるのでそこで頑張ってみないか?」と言われたのがきっかけで、ボイストレーナーとしてのキャリアがスタートしたのです。

そこからの5年間で生徒数は常時60名を越えるようになり、楽しく働いていました。

静岡で一番になれないやつが東京で仕事できるはずがない

ー そんな人気講師の座を捨てて、東京へ出るきっかけとなった出来事は何かあるのですか?

実は、当時お付き合いしていた彼がいて、結婚も考えていたんです。

その当時思っていたのが、「結婚したら、静岡を中心に働きながら、東京にイベントなどの仕事でたまに行けたらいいな」というスタイルでお仕事をすることでした。

ところが…

彼に、その話しをしたら全否定されたんですね。
「君は何をやってもダメ人間」とか、かなりひどいことを言われた記憶がありますが、「静岡で一番になれないやつが、東京で仕事なんてできるはずが無い!」と言われたのは、本当に深く傷つきましたね。
しかも、その事がきっかけでフラれてしまうことになったのです。本当によくわからなくて、当時は自暴自棄になりかけましたね。

周囲がドン引きするほどのスイッチが入った

ー 凄く偏見に満ちた意見ですね。(笑)でも、普通そんなことを言われたら、心が折れてしまうと思うのですが…

でもここでまた、中学校の時と同じようにスイッチを入れることが出来たのかもしれませんね。そして思ったのです。「ヨシ、東京で勝負してやる、次にお付き合いするのは東京の人だ!」と…

東京に住む彼氏を見つければ、とりあえず色々なことが一気に進みだすと思ったのです。そして東京に住む彼氏を捕まえました。(笑)

ー それは面白いですね!周りの反応はどうでしたか?

私の周りの友達は、かなりドン引きしていましたね(笑)
でも、その彼が今の旦那様となったことを考えると、必然だったのかもしれませんね。

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こうして独自のメソッドが生まれた

ー うわっ、すごい話ですね!それは本当にご縁で結ばれていたのでしょうね。東京の彼氏を見つけて、東京に出てきてまずはどんなことをされたのですか?

東京に出てきて、新宿のボイストレーニング教室で先生として働き出したのですが、まだこの時は自分で教室を開くということは考えていませんでした。
でも、色々なタイミングが重なって、2013年に生徒数4~5人で始まったのがムラーラミュージックオフィスでした。

自分の声に自信が持てない人の傾向と対策とは?

ー 生徒数が数人しかいない状態からスタートされて、現在は常時70名以上の生徒さんを抱えるまでになった要素はどんなことが挙げられますか?

ボイストレーニングに来る方のほとんどは、実はメンタルの要素を高めたいという潜在的なニーズがあるということが分かったのです。

例えば、「自分の声に自信がありますか?」と100人に聞いたとすると、自信を持って「はい!」と、手をあげる人っていうのは一人か二人なんですね。
ほとんどの人が、「あまり自信がない」とか「全く自信が無い」ということを言います。

声を鍛えることで最大限に得られるメリットとは

ー それはどういう事なんでしょうか?

そもそも声とは、骨格や顔の形のように生まれ持ったものであり、変えようがないんですよね。その変えようのない部分に自信のある人は、すでにメンタル的な強さはクリアされているのです。

しかし、「自分の声に自信がない」「自信を強く持てない」という人は、何かしらコンプレックスを抱えているという場合が多いというのが、今まで数々の生徒さんを見てきて分かったのです。

ただ、本人はそのコンプレックスに気づいていない場合が多いのですが、声を強化していくことによって、いつしか自信に満ち溢れて、抱えていたコンプレックスが解消されていくというのを、本当に多く見てきました。

ー 声が持つパワーというか、ボイストレーニングは歌が上手になるという話しとは、また別の要素があるということなんですね。

発声で伝わり方が変わる!?

声で感情が伝わってしまうというのは、普段の生活の中でもあると思うのですが、例えば「子供に発する声によって、ものすごく子供が言うことを聞くようになった」ということが多々ありました。

これは、 言葉を発して理解させるというよりも、ちょっとした声の出し方が変わったことによって、感情も含めて子供に伝わる内容が変わったからだと思うのです。

自分に自信がなかったり、コンプレックスを強く持っていたりする生徒さんが私の教室に来る。私はひとつひとつ、ボイストレーニングを手段として、心の奥にある壁を壊していってあげるんです。

ボイストレーニングがきっかけで人生が変わった!

そうやってコンプレックスとかを取り除いていった結果、当スクールから一年間の内に3人も、ミュージカルのヒロインに抜擢という結果を導き出すことが出来ました。
このことは、業界でも非常に驚かれて、それがきっかけでさらに生徒さんが集まるようになっているという現実があります。

これは結構多いのですが、引きこもりがちだった人が、私のボイストレーニングがきっかけで、人生を大きくプラスの方向へ転換するという事があります。そういう姿を目の当たりにすると、本当にうれしいですね。

他にはある経営者の方の話ですが、私のレッスンに向かう車内で、突然「今年は新しいことにチャレンジするぞ!」と思い立ったという方もいました。これはボイストレーニングがきっかけとなり、内側に隠れていた前向きな要素が表面化してきたからだと思うのです。

ボイストレーニングは声だけでなく内面からがらりと変わる!

ー ボイストレーニングを行うことで、内面的な部分からガラリと変えることができる?

今お伝えしたのはあくまで一例ですが、ボイストレーニングとメンタル的な要素の関連性に気づいたことで、ボイストレーナーとしての技術やノウハウだけではなく、心理系の資格をいくつかとり、より具体的にボイストレーニングをベースにしたメンタルサポートも行うことができるようになったのです。

ー それらの経験があって、ボイタリティメソッド®という非常に興味深いメッソドに繋がっているという事ですね。

いざ、ニューヨークへ武者修行!

ー 少し話は変わりますが、ニューヨークで一流アーティストのレッスンを受けられたと思うのですが、そのきかっけは?

東日本大震災がきっかけで、「海外の空気を一度も吸わずに死ぬのは勿体ない!」と思い立ち、2012年年始から英会話のレッスンをスタートし、その年の5月に初めてニューヨークへ渡りました。

海外の一流アーティストから学び感じた事

ー 英語もできなかった。何も知らなかった。そんな状況からアメリカへ行き、超一流の人たちと繋がることで、気付いたことはありますか?

圧倒的に違うと感じたのが、「その人たちの空気感」でした。感覚的な話になってしまいますが、直接会ってみなければ絶対に感じることのできない、空気感を持っていました。それを感じることができただけでも、渡米したことは私の財産だと思います。

もう少し具体的な話をすると、常識や流行にハマることなく、きちっとベースを抑えた上で発展させる考え方に非常に感銘を受けました。

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常識を飛び越える瞬間

例えば、その当時の日本人の歌い方というのは、出来る限り裏声を使わずに高音を出すというのが常識だったのですが、「どうしてそんなにつらそうに高音を出すんだい?裏声を使ってもいいじゃないか。」と、本当にあっさりと私の常識を壊してくれたのです。

日本人の声質は、どうしても厚みが足らないので、裏声を出してしまうとより声が薄くなってしまうんですね。だから高音も裏声を使わずに原音で歌うというのが一般的だったのです。

大切なのは本質を見失わないこと

でも、「そうじゃない考え方とアプローチをすれば、裏声だろうが何だろうが関係ないんだ!」ということを学び、私の考えをとても解き放ってくれたりということがありました。

今ならわかりますが、「しっかりと厚い高音を出す」という本質を理解しているからこその、ひと言だと思うのです。

一流の方に学ぶというのは、本当にちょっとしたアドバイスでも、多くの学びをえることができるので本当に出会うことが出来て良かったと思いますし、その方々につないでくれたTOYAさんには感謝しています。

行動力の源はこれしかない!

ー 今までの話しを聞いていると、行動力がすごいと感じるのですが、行動の秘訣みたいなものを教えていただいてよろしいですか?

行動に関して簡単に言ってしまえば、「明確にイメージして動く!」私の場合はこれしかないと思っています(笑)
ただ、行動の源というか色々な壁を突破するために絶対に外せないのが、両親との関係性だと思うのです。

例えば、ある業界で多くのビジネスの立ち上げをされている、ビジネスプロデューサーと話した時の事なのですが、結果を出している店長と両親の話をすると、そのほとんどが親との関係が良好であると言うそうです。
また、メンタル系の医療の現場では、先生が母親との関係が「どうであるか?」「どうだったか?」ということを聞く場面が多いということも聞きました。

親との関係性を見直す必要性

親に「そんなことは出来ない」という感じで否定をされてきてしまうと、感謝どころか自分に自信を持てなかったり、自分自身を否定してしまい、それがトラウマや負の感情となって、チャレンジすることが出来ないという人を数多く見てきました。

親と仲が良いというのは、いつもベタベタしているという事ではなく、あまり顔を合わせていないとしても、「心の奥底で今の自分があるのは親のおかげ。」と思えているかどうかというのが、非常に重要だと思うのです。

誰かのせいにしたり、他人から言われたことが気になってしまうということも、そういう見えない所に結びついてしまっていると思うのです。

全てのコンプレックス解消の道はボイトレに通じる!?

ー それらのトラウマをクリアするためのにはどうすることが必要?

トラウマの強い人は、「他人を許す。自分を許す」という事が苦手な人が多い。だから、まずはそれを受容することが必要になるのです。
他人に言われた何気ないひと言を気にしてしまうということは、自分の中に確固たる自信が無い場合が多い。
では、なぜ自信が無いのかということを紐解いていくと、「過去にあった出来事を許せていない」とか「自分のこういう所が嫌だということを許せていない」ということを、どこかでいつまでも気にしている。

そんな自分もいいじゃん!

でも、「そんな自分もいいじゃん!」と受け入れてあげることが出来るかどうか。口で言うほど簡単ではないのは分かった上で言いますが、それが大切だと思うのです。
そのひとつひとつを受け入れてあげた時に、行動に直結していくし、そのプロセスが実はボイストレーニングと一緒なのです。

ー ボイストレーニングがトラウマを解消する?

例えばレッスンに来た当初、うまくいった時に褒めてあげても、本人はなかなか受け入れることができない。
しかし、何度も何度もきちんとうまくいった時に褒めてあげると、いつのまにか褒められたことを受け入れられるようになるんです。

その「いいじゃん、いいじゃん、いいじゃん、いいじゃん!」が増えて、受け入れられるようになっていくと、それが自信となり良い方向へ進みだしていく人が多いのです。

声の魅力を高めることで手に入れることが出来る未来とは?

日本ではまだ遅れているのが現状ですが、アメリカでは社会的地位の高い方…。例えば大統領であれば、プレジデントボイストレーニングという言葉もあるように、ボイストレーニングだけでも何十時間もかけるほど、本当に声が重要視されているんですね。

これは男性に朗報なのですが、女性は耳で感じるので、声を鍛えていくことで、感覚的に女性からの信頼感を得やすくなったりということが多いですし、例えば歌がうまくなったら宴会部長になれますし(笑)

とにかく、ボイストレーニングをきっかけとして、自信を持つことが出来るようになると思うのです。

良い先生、悪い先生の見分け方

ボイストレーニングは、お医者さんと違って器具を使うことが出来ない(体の中を触ることが出来ない)ので、生徒さんとはまず信頼関係を築いていくことを心がけている。

良くない先生は、「どうだ、私凄いでしょ!」という感じで、自分を全面に出してしまう。そうすると、生徒さんは自分の意見も言いにくくなってしまうし、自分を出せなくなってしまうのでコミュニケーションが全く取れない状態になってしまうんです。

そういう状況ですと、生徒さんは「何か違うな~」と悶々とした気持ちでレッスンを続けることになりますし、ムダなお金と時間を使ってしまうことになりかねませんよね。

裏付けのある「ノリ」で信頼関係を築く

ー生徒さんとの信頼関係を築くのに気を付けていることとは?

ひと言でいうと「ノリ」ですね(笑)

例えば、生徒さんを不快にさせない「あだ名」をつけたりして、距離感を縮められるように心がけていますし、好意を持って接するようにしています。

有名な心理学者の長谷川博一先生という方がおられるのですが、例えばうつ病の患者さんと接する時に、足を一歩踏み出して、前かがみになって話を聞くことをするそうです。
これは、相手に親しみを込めて受容するという動きなのですが、私はそれを態度で表現するようにしています。

仮に、どんなに地位のある方であったとしても、人と人というフラットな関係でありたいとうのが私の信条ですね。

編集後記

ボイストレーニングを手段として、人生を素晴らしい方向へ導いてあげたいという「愛」の様なものを感じました。
宮島さんとお話しするだけで、ワクワクして元気が出てくるので、「多くの方に慕われているんだろうな」というのが伝わってきます。
ありがとうございました。

【略歴】
宮島 知穂(みやじまちほ)
ムラーラミュージックオフィス主宰 代表ボイストレーナー
1979年8月生まれ。出身地静岡県。名古屋芸術大学音楽学部音楽教育学科卒。
大学在学中はソプラノ歌手 「畑 美枝子氏」を筆頭に、海外一流アーティスト、Greg hartdege、Atsushi”Toya”tokuya、Yoco、アミナクラウディンマイヤーズ、ジョーコールマン等に師事。
ボイストレーニングとメンタルを融合させた、独自のメソッドである「ボイタリティメソッド®」の第一人者として、声を仕事にするプロを数多く輩出し、またビジネスパーソンにもボイストレーニングを通して、その道のプロを支援している。
(この記事は2018年2月にインタビューされた内容です。)

ムラーラミュージックオフィス
http://ohanashi.speechvo.com/